海外飛び出すことになったブログ

やっと海外に住みはじめました。ミーハーな海外フリークがthinkとdoをこつこつ記録します。

Book Review『堕落論』

 

堕落論 (280円文庫)

堕落論 (280円文庫)

 

好き度: ★★★★★ 

 

堕落論

元来日本人は最も憎悪の少ないまた永続しない国民であり、昨日の敵は今日の友という楽天性が実際の偽らぬ心情であろう。(P.9)

 

〈青春論〉

 

女の人が、もう二度と会わない、会うと苦しいばかりだから、ということを手紙に書いてよこしたとき、僕もまったく同感した。そうして、まったく同感だから再び会わないことにしましょう、という返事をだして、実際これで一つのくだらないことがハッキリ一段落したという幸福をすら覚えた。今まで偶像だったものをハッキリ殺すことができたという喜びであった。(P.66)

 

死ぬることは簡単だが、生きることは難事業である。僕のような空虚な生活を送り、一時間一時間に身のない生活を送っていても、この感慨は痛烈に身にさしせまって感じられる。こんなに空虚な実のない生活をしていながら、それでいて生きているのが精一杯で、祈りもしたい、酔いもしたい、忘れもしたい、叫びもしたい、走りもしたい。僕には余裕がないのである。生きることが、ただ、全部なのだ。
そういう僕にとっては、青春ということは、要するに、生きることのシノニイムで、年齢もなければ、また、終わりというものもなさそうである。(P.96)

 

〈恋愛論〉

 

私は弱者よりも、強者を選ぶ。積極的な生き方を選ぶ。この道が実際は苦難の道なのである。なぜなら、弱者の道はわかりきっている。暗いけれども、無難で、精神の大きな格闘が不要なのだ。(P.106)

Book Review『タイムマシン』

 

タイムマシン (偕成社文庫 (3234))

タイムマシン (偕成社文庫 (3234))

 

 好き度:★★★☆☆

 

大好きな友達がおすすめ、プレゼントしてくれた本!

 

タイムマシンを作って乗ってみたタイムトラベラーが時空の旅経験を語ってくれる!その時空というのが、近未来という現在の延長として想像できるものではなく、80万年後っていう設定。

 

時間軸を逆方向に80万年遡ると、地球は地質年代でいえば新生代ジャワ原人が繁栄していた時代。めっちゃ昔だよなぁ。

 

奇遇にも、今日は200年後の未来に生きる人たちが現代に現れたら、、という話を聞いて、場所的に世界レベルで考えるのと同じように、時間的にも未来の方向に広く考える視野って必要ー!とおもった。

 

Think globally, act locally! にかぶせて言うならなんて表現できるんやろう?Think eternally, act  now! みたいな?

 

びっくりだったのは、私が至高と考える世の中も、80万年後には人類にとって裏目に出てたという点。

 安全で快適そのものの社会になれば、本来なら力となる活発なエネルギーも、弱点になるだろう。(P.70)

 

危険を排除し安全を確保し、悲しみや怒りという負の感情を減らして幸福にあふれる穏やかな世界、、(お花畑)が一応の私の理想郷像だったのですが。それが実現して悔しさをバネに頑張るみたいな「野蛮な」気持ち、行いがなくなって人類は無能でふわふわした言語もまともにしゃべらない生物に成り下がっていたのです。

 

ぎくっ。それは今でも感じる!途上国の人たちは豊かになろうというまさにハングリー精神がやばい。バンコクで思ったのは、大都会のビル群のすぐ裏に、戸もないような崩れそうな木の家群が並ぶ。あれだけ目に見えて貧しさが近くにあれば「自分はあそこに戻りたくない」という正当な?上昇志向が強いのも無理ない。

 

実際日本に来てる外国人は、母語+日本語+英語とマスターしていて個人レベルでみたら私となんか比べ物にならんくらい努力してて有能。頑張ってくれたちょっと昔の日本人のレガシーにのっかって、ド楽な生活をしている自分に喝。

 

日本は世界に先駆けて、80万年後の無能人類に片足つっこんでる課題先進国なのかも?

 

人間の知性の思いえがいた夢が、こんなにはかなく消えたのかと思うと、ぼくは悲しかった。まるで知性の自殺だ。人はここちよい楽な暮らしを追いもとめた。いつまでも安全でゆるぎない、調和のとれた社会をつくろうとしてきた。そして、その目標を達成し、こういうふうになった。(P.165)

 

問題の本質を考えようとせず、目に見える範囲のことにだけとらわれるのって愚かだ!と思ってましたが、目に見えない範囲って際限ない。目の前のことするのって尊いなって思いました。

 

はーーーーまた次回!

2017年に突入しました。チラ裏な平和に対する思い。

明けましておめでとうございます。

 

年末年始は、親戚めぐりや同窓会などで気持ち新たになりますね。

 

祖父母にアフリカに2年間いくよという報告をしたんですが、もう涙がどばーと出て。

 

祖父母はもう90で、よぼよぼふわふわ。脳みそもふわふわ。平和の象徴みたいな笑顔をくれます。この人たちがしっかりお父さんを育てたからこそ、そっから私が生まれてだめながらも育って、やりたいことをできてる。

 

ばあちゃんにも聞かれたけど、アフリカに2年間、といきなり聞くと「なんでー?」となるのが自然。一言ではうまく言い切れん、平和教育の影響をもろに受けてとにかく平和に対する思いが強くて、自分がなんかそのために動きたくて。

 

中学校の時に夏休みの宿題で、おじいちゃんおばあちゃんに戦争体験を聞いてきましょうというのがあった。

母方の祖父母は幼かったので、記憶の鮮明な父方の祖父母に聞いた。

 

じいちゃんは飛行機?を作る技師的なことをしていた。技師として必要要員だったから自分が前線に出向くのは遅らされて、結局行かずにすんだらしい。飛行機を作りながら、材料不足も甚だしい状態で、一技師から見てもアメリカに負けるというのは明白だったらしい。

 

ばあちゃんは空襲にあって、ロータリーは死体がつみあがってたらしい。大火傷のせいかみんなとにかく喉がかわいてそのへんの水を飲みたがるけど飲んだら死ぬ(⇦調べたら科学的根拠は乏しいらしい)から、さらに死体がいっぱい。

大八車で死体を探して乗っけてく人とか、蛆虫がわいてそこらにただよう死臭とか。連絡手段もなく、親戚の安否もわからず、わやだったらしい。

 

そんな話をおだやかに語ってくれた。辛いことを思い出すんて辛いと思う。やけど、そうやって聞いた話は本当に貴重で、二度とそんなことを起こさんようにするんが後世の人間の義務でしょーー。という模範生徒みたいなことを今でも心の底から思ってる。戦争の前提とか背景がどうあれ、ミクロでみたらそれって200%まちがっとるからね。

 

その話を聞いたのがせいぜい13歳。今26歳。倍生きて、いざ自分が平和な世界作りに貢献できることはなにか増えたかっていうと恥ずかしいくらい何もできない。

 

そんなこんなで感謝の気持ちとか決意とか山ほどあるけど上手くいえず「ありがとう。また来るね。元気でね!」と簡素な挨拶になってしまう自分が不器用すぎてむりー。

 

誰しも思っとるやろうけど、平和な=みんなが自分幸せ〜ってかみしめられる世界が2017年に完成しますように!ASAP

Book Review『21世紀に生きる君たちへ』

 

対訳 21世紀に生きる君たちへ

対訳 21世紀に生きる君たちへ

 

 好き度: ★★★★☆

 

尊敬する友達のおすすめ!

これは本というより手紙!本の形にまとめられた、司馬遼太郎からの手紙です。薄いし!

 

対訳ってのをみて、司馬遼太郎って翻訳もしたんやーと早とちりしたけど、じゃなくて彼の文章が英語に訳されてます。

見開きの左に日本語、右に英語で読みやすい(^◇^)

 

21世紀を生きる私たちにくれるメッセージは二つ。

①自然を敬うべし

②自己を確立せよ

 です。

 

①自然を敬うべし

 

 昔も今も、また未来においても変わらないことがある。そこに空気と水、それに土などという自然があって、人間や他の動植物、さらには微生物にいたるまでが、それに依存しつつ生きているということである。自然こそ不変の価値なのである。

これ、個人的に激しく同意であると同時に、非常に日本人的(東洋的?仏教的?やまと風?)やなぁと思いました。

 

このあいだ、シンガポールに住むエジプト人ムスリムとコンタクトとる機会がありました。

シンガポール仏教寺院で、熱心に岩に向かってお祈りしてる現地の人をみて、「ただの岩やん。意味不明!」としか思えなかったんだそう。

 

確かに"アッラーの他に神はなし"、と考える彼らには不可解でしょうねー。

 

あと、確か禅宗のお坊さんがPodcastの番組に投稿してたのが、

•日本人にとっては自然崇拝がOS、仏教神道はアプリ

一神教徒にとってキリスト教/イスラム教/ユダヤ教などはOSそのもの

というおもろい例え。

 

日本人は宗教的に無節操だとか、仏教は宗教といえないだとか、よく聞くし面と向かって言われたこともあります。

 

またキリスト教の国では、「イエスを信じない=無神論者」となってしまい、私のような全部の宗教、神ラブ♡みたいな選択肢?はないみたいです。

 

これらも全部、一神教国ではその宗教はOSであって、大前提、根幹だからこそなんだろうなと思います。

私にとっては仏教神道キリスト教もアプリでしかなくて、自然崇拝のOSのもと、共存できるし互いに矛盾しない。

 

自然は畏れ多いよねっていう気分を広めて欲しい、そうすれば人間同士もなお尊敬しあう時代がつくれるだろう、とのことです。

 

 

②自己を確立せよ

 

21世紀にあっては、科学と技術がもっと発達するだろう。科学・技術が、こう水のように人間をのみこんでしまってはならない。

 

人間いたわり合いましょうねという話。

 

 

③プラス緒方洪庵の話

 

ロールモデル的な人物として、緒方洪庵が描かれています。英訳の中で美しいなと思った文章です。

For Japan inside the box, Nagasaki was like a small hole pricked open by a needle. Through that small hole, the light of the world shined in faintly. For people of those days fond of learning, that light was China and Europe. Even inside the dark box, it was possible for people, so long as one had ambition, to know about the world.

 

鎖国体制下、長崎の出島を通して得られる外の世界の文物はほんまにワクワクをもたらしたんやろうなぁと思う。素敵な時代!

 

司馬遼太郎が、時代をこえて、国境を越えて普遍的だと考えた思想がこれらです。

マラウイの農村でもこれを基本思想に生きて、現地の人からもたくさん学んできまーす。

 

それではー!

残念な適応の件/アフリカに便利グッズを持ち込む件

タイに駐在している大先輩とこんなやりとりがありました。↓

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マラウイの生活は不便だろうねという文脈。

 はたと気づいたこと2点。

 

1. 小学生に返すくらいのレベル感の返答を無意識にあらゆる人にしてた。

 

これは恐ろしいことだーー( ;∀;)

『わかってるだろうけど、分からないふり』この指摘めっちゃ痛い。

普段話す相手の層?属性?が限定的だと、それにあった話し方が染み付いてしまう。

 

「この人(ら)にはこんなこと話しても期待するような返答は返ってこないだろうな、、適当にかいつまんで分かりやすい感じでまとめちゃお」という怠慢でしかない態度をここ数年で身につけてしまった。(ある種の適応ではあるのか。。)

 

※そこはかとなく漂う違和感。自分の居場所はもっと他にあるんじゃないかという微妙な居心地の悪さ。

 

いろんな業種やバックグラウンド、年齢の人と関わる努力が足りなかったーーーただでさえ不十分なコミュニケーション能力がさらに鈍った可能性あり( ˙-˙ )

 

 

2. 「現地の人と同じ生活!同じ目線!」と豪語しながら便利グッズを買い漁る協力隊候補生である私。

 

不便な生活をサバイバル♪と考えなしに楽しみにしてるわけじゃない、というのを先輩に伝えるにはなんて返せばいいかなーと考えてました。

 

言葉を補うと、「不便な生活(を通して今まで持ってなかった感覚や現地の人と同じ生活をした人にだけに備わる視点を新たに得られるであろうその機会を得られたことに感謝してるし)楽しみーー!」ということ。

 

一方で、ヒートテック、停電用に登山用ヘッドライト、吸水性速乾性◎マイクロファイバータオル、などの便利グッズを今着々と買い揃えています。

 

あれ?これって現地の人と同じ生活じゃなくね?とふと思ったのでした。

 

無数に存在する協力隊ブログでは先輩隊員が「これがあれば便利!」という貴重な情報を発信してくれています。慣れない途上国生活に先進国の人間がいきなり飛び込むにはそれ相応の準備が必要でしょう。

でもどこまでいっても、いつまでいても、日本にホームがあって、数年たてば機械の修理ができて、壊れたものも新たに調達できる環境に戻ることができる。それって「第三の男」にしかなれてないんだろうなーと思いました。

 

自分の生活の範囲なら、先進国の便利グッズを持ち込んでも、運用するのは(そのうち先進国に戻る)自分だから問題ないかもしれない。

 

でも、先進国の技術やシステムをそのままぽんと持ち込んでも上手くいかないというのは、あらゆる人がゆーてるし事例も山ほどあるけど、ほんまにそうやろなぁと思ったのでした。

 

それでは、また!

Book Review『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』

 

ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義

ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義

 

 好き度: ★★★★★

 

おもろい!!尊敬する友達らとの話題にのぼったので読んでみましたが、電車の中で笑いをこらえるのが大変な程度に楽しくて知的に愉快な本!

 

「ドーナツを穴だけ残して食べるには?」という一見ただの愚問とも、深い哲学的な問いにもとれるこのQに、阪大のいろんな学問領域の教授がそれぞれの専門分野の考え方を総動員して答えを出しています。

 

学部選びを迷っている中高生に(というか高校1年生の自分に)、猛烈に勧めたい(*゚▽゚*)

 

数学の場合

 

とにかく目からうろこだったのが、数学的アプローチ!!

 

数学とかペッ!!!!って感じだったのに、もしかしたら自分に合ってたのではー?とも思います。

 

それではさっそく驚きの論法をざっくりと説明します♡

 

この地球上で、物の位置を特定するには3つの要素があれば足ります。東経135度、北緯36度、海抜5m、みたいな。

これを数学で出てきた懐かしの座標上においてみると、(x,y,z)=(東経135度、北緯36度、海抜5m)となりますね。いわゆる3次元の世界。

 

ところで、1次元の世界(=左右に伸びる数直線)に生きる点Aからみると、2次元でx軸に加えてy軸を持っている点Bは、瞬間移動が可能です。

 

同様に、2次元で生きる点Bからみると3次元で生きる点Cは瞬間移動が可能です。2次元で円を書いてその中に馬がいると仮定して、3次元の高さという選択肢があれば馬は柵を飛び越えて逃げてしまえるのです。

 

ということは、同様に、3次元にあるドーナツを4次元に移動してぱくぱく食べて、また3次元に戻せば、穴の存在を認識したまま瞬間的に?ドーナツは消えているのです!

 

「そんなん屁理屈やん!」と言う人へ。

➡︎数学は理論が間違ってなければ好きに並べたらおっけー

 みたいな教授の言葉があったはず。うむ(笑)

 

だんだん論証が進んでいって、ドーナツを穴だけ残して食べれたとこまで読んだとき、「ああああドーナツ食べれたーーーー!!」と歓喜しました(笑)

 

 ↑数Iの二次関数で早くも数学嫌いになった私の説明では分かりにくいことこの上ないと思いますので、ぜひ先生の解説を本で読むことをおすすめします!

 

法学!

 

だめだ、本が手元になくて説明できない、、脳みそに残ってない証拠だ。とりあえず詭弁ヤローか!という法学者らしい論理だったと思います。

 

ドーナツ問題に関連して、「ヴェニスの商人」のシャイロックに対する判決のエピソードもでてきます。法的安定性などの基本的な考え方も紹介されていて、ほんまにわかりやすい。

 

総じて 

 

阪大の学生も阪大の先生もさすが!!!好き!!!ってなりました(笑)

 

学際的に考えられるようになりたい。

 

あーインプットもアウトプットもエネルギーいるな!不足している!

それではまたー

Book Review『ルポ資源大国アフリカー暴力が結ぶ貧困と繁栄』

 

ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

 

 好き度:★★★★☆

 

アフリカ貿易に携わる友人に勧められた本。アフリカの本ってずしーんとくるものが多いのでさくさくは読めないけども、地道に知識蓄積してます。

 

成長すさまじいアフリカ。この本は毎日新聞ヨハネス特派員の白戸圭一さんが2009年に書いたルポなので、もう変わっている部分も多いかも。というか変わっていてほしい、前進してほしい要素がつまっています。

 

章立てからして、、

第一章 格差が生み出す治安の崩壊ー南アフリカ共和国、モザンビーク共和国

第二章 「油状の楼閣」から染み出す組織犯罪ーナイジェリア連邦共和国

第三章 「火薬庫」となった資源国ーコンゴ民主共和国

第四章 グローバリズムが支える出口なき紛争ースーダン共和国

第五章 世界の「脅威」となった無政府国家ーソマリア民主共和国

 

(><)

なんとなくアフリカ各国のキャラクターがつかめてきたので、このラインナップはむむむ。 。

 

ー南アの格差ー 

南アはいろんなところで治安の悪さが取りざたされてますよね。ケープタウンの民間研究機関「安全保障研究所」の研究員・ピーター・ガストロウ氏の言葉。

民主化後、アフリカの様々な国から入国者が押し寄せ、失業者の中から犯罪組織に加わる者が相次ぐようになったのです。その結果、南アは麻薬密売、人身売買、マネーロンダリング資金洗浄)、詐欺、希少動物の違法取引など様々な組織犯罪の国際的な中継地点になっています。(P.36)

 

南アはアフリカで最も経済水準の高い国ですが、南アよりはるかに貧しい他の国々の方がずっと治安が良い。要するに、誰もが一様に貧しい社会では犯罪、特に犯罪組織は成立しにくい。巨大な所得格差が生じた時、貧しい側は犯罪を通じて『富』にアクセスしようとする。(P.37)

 

富へのアクセス、という言葉が印象的です。「お金持ちになりたーーい!」と思えば大企業or外資系で職を探す、投資で一発あてる、はたまた一念発起で企業、などの発想に至るのが一般的だと思います。

ですが、南アではかたぎな仕事をコツコツ頑張っても、永遠に富裕層には近づけないほどの所得格差があり、強硬なショートカットとして犯罪を選ぶ。

 

程度は全然違うけど、先進国においても格差の固定化って大問題だと思います。

協力隊の2年間が終わった後の進路について模索していますが、一つの選択肢として海外大学院進学というのを検討しています。学力、経験に加え、最もシビアなのがお金。イギリスの大学院に1年行くと、授業料・生活費合わせてざっと500万円いるらしい。アメリカの私立大学院に1年間いくと1,200万円という話もあるので、それと比べればまだ良心的と言えますが。が、必須の英語能力検定IELTSは受験料だけで約25,000円

あらゆる投資の中で最も投資効率が良く、確実だといわれるのが教育への投資です。それにしても、お金かかりすぎじゃないですか?

 

貧乏人は大学院に行けない、修士必須である職業にはつけない、そいういう職は概して高給取り。なんだかなーと思います。

(私立大学に通わせてもらった身としてはそれだけで十分恵まれてるのは承知の上で。)

 

どんどん世界が高学歴化してくる潮流ってどこかのタイミングで転換しないのかなーなんて想像してしまう。欧米?だといっこめの職につくのに、大学、大学院、インターン経験などが必要で働き始める時点で30歳とかざらにあるとも。変なの。

 

アパルトヘイトや身分制がなくなったら、また新たな壁が現われるんですね。

 

 アフリカの組織犯罪の特徴は、個々の組織が数人から数十人と小規模なことだ。たとえば、コカインの生産から密売までをピラミッド型の指揮系統で統制する中南米の巨大麻薬組織とは対照的である。•••裏社会全体を仕切る「大ボス」は存在せず、組織同士の関係は流動的で、一組織が摘発されても即座に新たなネットワークが形成される。(P.55)

中南米に興味がある私としては、記憶しておきたい知識。

 

ーコン民のケースー

 

筆者が南アからコンゴに行くにあたり一番安い1ヶ月ビザを申請しようとしたら、外交官から「6ヶ月有効のビザしかダメです。料金は5,250ランド(約9万円)です」と。そんなはずはないので裏をかこうと、筆者「OK。それならコンゴには行きません。さよなら。」→「あー待って!一ヶ月でもおk。料金は1,500ランドでいいです」

こんな一悶着があったらしいです。ことの真相は、、、

コンゴの国庫はほとんど空っぽに近いので、公務員にはほとんど給与が払われていません。…ビザ発給は、各公館が自活していくための重要なビジネスの一つです。正規の発給手数料自体が存在しておらず、各公館で適当に料金を決めています。…何としてもあなたに一番料金の高いビザを申請させたかったのでしょう。(P.164)

ひえええそんなことある?同じ地球上の国とは思えないようなことがあるんですね。日本で豊かな生活を送っていると、そんなことも知らずに、気づこうとせずに生きて行ってしまえるんだなぁ。

 

汚職せずには誰も食べていけないのが現実です。(P.167)

話は少し遡りますが、今年の春頃、世界銀行グループでプロジェクト融資に携わっていたインドの方のお話を聞きました。その講演ではどの国のどのプロジェクトでも、何かにつけて"corruptionがね、、"という話に行きついていました。汚職や腐敗って良識で打破できるものだとおぼろげに思い込んでいましたが、それならここまで問題の根は深くない。貧しすぎて汚職せざるを得ない環境。。

ただ、「生きるため」という正当化はどんな場合にも通用するわけではないというのが現時点での私の考えです。マラウイに行ったら変わるだろうか?

 

国民生活の壊滅的状況とは裏腹に、コンゴ経済は近年、数字の上では急成長を遂げてる。(P.170)

マクロでみた数字での実態把握には限界があるなぁと痛感したフレーズ。ミクロでそこに住む人たちの生活を見るのが協力隊の2年間の意義。

 

ー今は南北に分かれたスーダン

 

2011年にスーダン共和国から南スーダン共和国が分離独立しました。現時点でもっとも新しい国家だと認識しています。この本ではまだ一国です。

今日も「駆けつけ警護」という新任務を帯びた自衛隊南スーダン派遣がニュースになっていました。

 

アフリカへの中国資本の進出はかなり有名ですが、

主要先進国が「人権」や「民主主義」の保障を援助や投資の前提条件とする近年の潮流に対し、中国をはじめとする新興国「内政不干渉」「政教分離の原則を掲げて積極的に投資を行う傾向が強い。(P.186)

いわゆる植民地主義というやつ。同じ過ちを繰り返さないために歴史を学ぶのですが、、、歴史は繰り返す。石油や鉱物資源が豊富だと付け狙われてしまうのか。。

 

他の近隣国家と同じく、民族紛争もバチバチです。筆者の意見で、

仮に二つの民族が対立関係にあったとしても、人間は単に伝統的に対立しているだけでは相手を殲滅するまで攻撃したりはしないものだ。…特定民族に対する苛烈な迫害は自然発生的に拡大するものではなく、政治権力による計画的な主導がなければ起こり得ないというのが私の考えである。(P.204)

 完全に同意なのでメモ。

 

 

ー無政府国家・ソマリア

 

さて、リアル北斗の拳などと言われるソマリアですが、無政府といっても想像が及ばないんですよね。具体的に。それが詳しく書かれています。

筆者は護衛として雇った私兵集団とともに街に入っていきます。至る所で、武装した民兵たちが通行料をせしめる「検問」がありますが、こちらも武装しており彼らの顔が利くので支払わずにスルーできたそう。一方、武装していない丸腰の車は支払っている。

私は雇った護衛の「強さ」に安堵すると同時に、これは日本で言えば暴力団が支配する社会に等しいと思った。(P.267)

戦闘力がすべての基準になるって戦国時代やん。

 

筆者の関心は市民の生活にも及びます。

普通の市民はどうやって収入を得ているのか。… 中央銀行が存在しないにもかかわらず、モガディシオの街では「ソマリアシリング」という通貨が立派に通用しており、米ドルとの間にはちゃんと変動相場の交換レートが存在している。(P.270)

この一つの答えは、海外に避難したソマリア人たちが国内向けに送金してくる資金。ソマリアに送金、とか日本では100%理由を問い詰められる上、ほとんどの銀行がとりあってくれないのではと推測します。マネロンの観点からも、送金の安全性からしても最低ランクと言えるんじゃないかなー。

通貨に関しては、

ソマリアシリングの紙幣は、1991年まで存在していたバーレ政権が発行していた紙幣のデザインを、そのまま民間人が印刷しています。中央銀行の民営化ですかね。(P.271)

笑えない。

 

そして、教育について。現地の小中高一貫校の校長は、

バーレ政権崩壊の年に生まれた子供も、今年でもう十四歳です。ソマリアの一番の問題は子供たちが生まれた時から暴力の中で育つことです。ソマリアの子供たちは、『法の支配』を知らない。意見の違いを銃撃戦で解決する社会で人間が育つということがどういうことなのか、あなたには想像できますか。

 

私たちは限界に近い中で教育を続けていますが、負けません。武力ではなく話し合いで解決することを教え、平和と民主主義の担い手を作ることが大人の責務です。

理想の先生。こういう人たちの努力が実を結ぶような社会が最高な社会なんだろうなと思う。そのために何ができるのかーーーだめだーーー何かしないとーーー

 

白戸圭一さんは他にもアフリカ関連の本を執筆されているので、読んで勉強しようと思います。あと自分に何ができるか思いを巡らせてみようと思います。

 

それではまた!