海外飛び出すことになったブログ

やっと海外に住みはじめました。ミーハーな海外フリークがthinkとdoをこつこつ記録します。

Book Review『怖い絵』

 

怖い絵<怖い絵> (角川文庫)

怖い絵<怖い絵> (角川文庫)

 

 好き度: ★★★☆☆

 

ジャケ買いしかけましたが親が楽天koboで購入していたのでipadを拝借し、初めて電子書籍を完読しました。ーーやっぱり電子書籍苦手!(※この絵は電子書籍版には載せられません、ってやつがあったのには参った)

 

中野京子さんは最近本屋さんでもよく目にします。調べてみたら早稲田卒の早稲田の先生(専門はドイツ文学)だったので、どんな授業かなーとシラバス検索してみる→ひっかからず。なぜ?(°▽°) でも授業受けられる人はうらやましいなーと思える内容でした!

 

あつかっている作品は22。

1 ラ・トゥール『いかさま師』

2 ドガ『エトワール、または舞台の踊り子』

3 ティントレット『受胎告知』

4 ダヴィッド『マリー•アントワネット最後の肖像』

5 ブロンツィーノ『愛の寓意』

6 ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』

7 クノップフ『見捨てられた街』

8 ボッティチェリ『ナスタジオ•デリ•オネスティの物語』

9 ホガース『グラハム家の子どもたち』

10 ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』

11 ベーコン『ベラスケス〈教皇インノケンティウス十生像〉による習作』

12 アルテミジア•ジェンティレスキ『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』

13 ムンク『思春期』

14 ライト•オブ•ダービー『空気ポンプの実験』

15 ホルバイン『ヘンリー八世像』

16 ジョルジョーネ『老婆の肖像』

17 ルドン『キュクロプス

18 コレッジョ『ガニュメデスの誘拐』

19 レーピン『イワン雷帝とその息子』

20 ゴッホ『自画像』

21 ジェリコーメデューズ号の筏

22 グリューネヴァルト『イーゼンハイムの祭壇画』

 

知らん絵ばっかり、いい!これらを全部「実は怖い」という切り口で解説してくれます。高階秀爾さんの『名画を見る眼』ラバーとしてはこういう本は好きだーー

  

少しメモ。

●『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』アルテミジア•ジェンティレスキ(女性)
画家本人の署名があるにも関わらず、こんな雄大な絵を女が描けるはずがないとの偏見によって彼女の父親作or父親との共同作品と間違えられていたというエピソード。現代では、少なくとも私は絵をみて「うまいなーー」と思ったとしても画家が女性である可能性を排除する発想はないので、おもしろい。

女流•••女性のなかま。女性。(多くは芸術家•技術家などを表す語に添えて用いる) ( 広辞苑より)

"女流"棋士とか"女流"作家、"女"医って呼ばれる分野ほどまだジェンダーフリーでない業界なんだろうな。

 

●『キュクロプス』ルドン

一つ目の怪物と横たわる女性がいる絵です。

愛が憎しみに変わるとき、たったひとつの偏った見方しかできない目は抑制を知らず、自分の破壊力がどれほど大きいかも忘れて暴走する。

 

愛において相手との距離を測れない者は確かにおぞましい。おぞましいがしかし、そのようにしか愛せない本人にとっては紛れもない悲劇である。尽きぬ憧れと絶望を抱えてガラテアを盗み視るこのポリュペモスが、恐怖を呼び起こすと同時に憐れを誘うのは、肉体には成熟していても頭が子どもなみに未熟であることが示されているからだし、彼の愛は真摯なのにその愛し方があまりに拙劣だということが伝わってくるからだ。

 

この本きっかけではないけど、奇遇にも数日前「怖い」という感情について考えていました。何が怖いという気持ちを呼び起こすのか?つきつめると源はなんなのか。可能性のある答えとして思い浮かんだものは以下です。

①未知/不知だから

法益を侵害されるから

①はずーっと思ってきたことで、例えばイスラム教についてよく知らない人がいるとします。その人の持つイスラム教のイメージはテレビで見るISのテロリストに大きく影響されて、「イスラム=テロ=恐怖」という図式になる場合なんかは、知らないことが恐怖の源なんじゃないかなと。

もっと単純なものでいくと、柳が幽霊に見えて怖いってやつです。でも太陽の下でそれがなにか「わかる」と恐怖はなくなります。

 

ただ、既知でありしかも予想の範囲内で終わるだろうことに恐怖としか言い表せない感情を抱いたことがあります。なんで?となって進んだのが②です。

 

法益とは刑法学の考え方ですが、個人的法益には例えば、身体、生命、財産、自由、名誉などがあります。これらが侵害される=不利益を被るのがいや=怖い なのでは?

 

例えば、どろぼうに入られるとお金が減るから怖い【財産】、ストーカーにあうと殺されるんじゃないかと思って怖い【生命】、など。

 

ここまでうんうんと考えたものの、友人に指摘されたのは、

吊り橋効果でわかるように、"怖さ"と"ときめき"さえ脳は誤認識してしまうんだから、源とかもっと曖昧なんじゃね?

この説にあそっかと納得してしまったので、思考終わり(笑)

 

最近時間はあるのに本読むペースが遅いので、しゃんとしようと思います。

Book Review『トリガール!』

 

トリガール!

トリガール!

 

好き度: ★★★☆☆

 

鳥人間コンテストに挑む若者たちの小説。内容はフィクションやけど、背景とか人物とかは実際のもの/ひとに基づいているところもあって、圭のモデルとなったご本人に勧められて読みました〜

 

プロットはみんなが共有してるthe青春物語なんだけども、ものづくり的な意味で勉強になった!

 

本とご本人によると、部員は60-70人とのことなのでまぁ70人とする。メインの登場人物3人はできあがった機体に乗り込んで漕ぐ/操縦する人。まったくものづくりを知らない私としては、あとの67人は設計士?と思ったけど、設計士は6人だけであとの61人は「作る人」らしい。その発想なかった。技師さんってことか。ちなみに操縦する人はエンジンに例えられて機体の一部って考えられるらしい。

 

自分にすとんと落ちる次元に引き寄せると、設計士が作曲家、技師が演奏家、的な?お互いいないと作品が成立しない補完的な関係で、お互いリスペストしあっている的な。違うところもいっぱいあって上手く言えてないけど、ものをつくるって設計して組み立てるんだっていう非常に当たり前の気づきがありました。

 

著者の中村航さんは芝浦工業大学の方なので鳥人間は身近だし、理論的なところもずいぶん実感があるんだろうなーと推測。結構描写が詳しくて「????」ってなるところが多かったです(笑)

 

小説って自分じゃない人の経験を擬似体験できるのが醍醐味ですよなーとしみじみ。

 

飛び立つ瞬間にね、ガタガタ鳴り響いていた車輪の振動が、ふっ、と消えるんだ。その瞬間、不可の種類が変わるんだ(P.48)

先輩パイロットの圭から後輩である主人公•ゆきなに対するセリフ。この感覚とか、実際に経験できるのはパイロットだけなんやけど、すごいわかる気がするし魅力的!いいなーと思ったこの表現は小説中に計3回出てきました(*゚▽゚*)

 

あと、きらめいて見えたセリフを列挙しときます。

でも、やりたいことなんて、最初はないんじゃないかな。そういうのって後からわかると思うの。きっかけなんて縁だし。楽しそうって思ったら、好奇心に乗っかってやってみるだけだよ。(P.86)

物語の序盤、工業大学に入学してやりたいことがまだ明確に見えないゆきなに、親友の和美。「やりたいことがない」という悩みを持つ方へ(笑)

 

プレッシャーや、不安や、突然の横風を恐れる気持ち。そういうものは全部、あの日『風林火山』に置いてきた。あるいは、自転車を漕ぎ続けることで、"自分への期待"や"勇気"や"覚悟"に塗り替えてきた。(P.210)

本番に向けて追い込んでいくゆきな。負の感情をどっかに「置いてくる」っていいな!

 

勇気を持って飛んでほしい。僕も勇気を出すから、君にも勇気を持ってほしいんだ。いいかい?勇気ってのは無謀とは違う。勇気は愛から生まれるんだ。(P.220)

ゆきなと一緒に飛ぶ坂場先輩へ、他の部員から。勇気と無謀は紙一重な部分もあるとわかっているけども、違う言葉として存在する以上、意味するところも完全には同じじゃないよねーという自分への激励(╹◡╹)

 

飛ぶことに対するわくわくって点では、『風立ちぬ』で零戦開発してた人とイメージが重なりました。みんながある種の美学を持っている点でも!

 

日本では9月にこの映画が土屋太鳳さん主演で公開になるそう。青春!みたいな部分ばかりフォーカスされるという危惧はありますが、私のお気に入りの表現たちが出てくれるといいなぁと思ってます。

 

終わり。

Book Review『下り坂をそろそろと下る』

 

 好き度:★★★★☆

 

ここ1年くらいで私の人生に何回も登場してき始めた平田オリザさんという方。ついに著作を読むに至りました。青年海外協力隊の顧問?の教授がおすすめしていた一冊。

 

日本はどうしていくべきだろうか?っていう話です。もう高度経済成長みたいな時代は来ない、ゆっくり下り坂に入ることはわかっているけど、その"寂しさ"に耐えられないが故に変な方向に頑張ってしまっている、、これまでとは違った頑張り方が必要だよね、という話。

 

地方創生のケーススタディのごとく、実際の地方のいい感じの事例が紹介されています。うち二つは香川県小豆島善通寺四国学院大学のお話です!

 

東京一極集中じゃ日本がもたないし地方創生だーと叫ばれてる世の中です。が、個人的には自分の田舎、地方に対しては煮え切らない思いがあります。好きだし嫌いだし、住みたいけど住みたくないし、離れたいけど離れたくない。この本を読んだら、そんな微妙な気持ちをめちゃしっくりくる方法で咀嚼できたような気がします。

 

まず、都会の圧倒的強みというのがこれ↓

文化資本、とりわけセンスや立ち居振る舞いなどの身体的文化資本は、おおよそ二〇歳くらいまでに決定されると言われている。…この身体的文化資本を育てていくには、本物に多く触れさせる以外に方法はないと考えられている。…そうだとしたら、現在の日本においては、東京の子どもたちは圧倒的に有利ではないか。東京、首都圏の子どもたちは、本物の(世界水準の)芸術・文化に触れる機会が圧倒的に多い。(P.108)

 これな!!!一時は、どんな都会の名門校に入って有名予備校に通おうが、地方の進学校からかりかり勉強しようが、結局たどりつく大学が同じだったら同じやんと思っていましたが、たぶん違う。学力(知識量)は同じかもしれないけども、文化の経験値に差が出てきます。海外の有名なオペラや絵画とかが日本に引っ越し公演、巡回してきても、東京・大阪などだけ回って終了なことがほとんどです。これはほんまに都会がうらやましいところ( ;∀;)

また、東京では小学校の遠足で国会見学したり皇居見学したりと、彼らにとっては特別なことでなくても、地方からすると「ああやっぱ違うなー」となるのです。

 

田舎に文化がないわけじゃないし、代わりに自然があるというのはある程度そうなんですけど、また別問題。

 

さてこの身体的文化資本が欠如すると何が問題なのか?国からの交付金はかえって地方を保護政策依存にさせてしまうーという文脈で、

地域の自立再生には、そのような一方的な保護政策に打ち勝つための「文化の自己決定能力」がどうしても必要だ。ではその能力(センス)はどのようにして育つのだろう。それは畢竟、小さな頃から、本物の文化芸術に触れていくことからしか育たないと私は思う。(P.159)

他のところで「文化の自己決定能力」は「付加価値を生み出す力」と言い換えられています。身体的文化資本がないと、その土地ならではの付加価値を生み出すことができず、本当の意味での地方創生ができないというわけです。

 

 

日本がアジア唯一の大国である時代は終わりました。中国、韓国はぐーんと伸びています。

ゆっくりと衰退していく自国の姿を受け入れることは、寂しいことである。しかし、私たちは、その寂しさに耐えなければならない。(P.191)

自虐史観だのと言われてもやはり愛国心みたいなものはあるわけで、自分の国が成長していくという昔の上向きの空気が懐かしくて懐古厨みたいになってるってことですかね。

 

 そんなぐずぐずな世相では、猛烈なリーダーシップを持ったトップをもってくることで停滞感を打破しようとしがちですが、方向転換が必要なんです。

これからの日本と日本社会は、下り坂を、心を引き締めながら下りていかなければならない。そのときに必要なのは、人をぐいぐいとひっぱっていくリーダーシップだけではなく、「けが人はいないか」「逃げ遅れたものはいないか」あるいは「忘れ物はないか」と見て回ってくれる、そのようなリーダーも求められるのではあるまいか。(P.150)

これ、「支配型リーダー」ではなく「サーバントリーダー」たれっていうアジア学院で習ったことです!上意下達の支配型リーダーにも欠点はあるので、自ら動いてみんなを巻き込んでいく、ある意味ではみんなに仕えると言えるサーバントタイプのリーダーがいまどき!みたいな話。

 

競争と排除の論理から抜け出し、寛容と包摂の社会へ。(P.236)

そしたら自殺とか過労死とかなくなるかな。

 

コミュニティ論みたいなのは初めてでしたが、これからいっぱい読んでいこうと思いますー

 

Book Review『風に舞いあがるビニールシート』

 

風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート

 

 好き度:★★★★☆

 

協力隊の同期に勧められた本。

森絵都さんの作品は『屋久島ジュウソウ』という旅エッセイしか読んだことがなく、なんとなくぼやっとしているなーという印象だったのですが、これを読んでみると日常を描くのがうまい人なのかなというプラスの印象に変わりました。なんとて、これ直木賞を受賞しているらしいです。なるほど。

 

この本には6つの短編集が入っていて、内容はそれぞれ独立しています。6つに通底するものをみいだす、、みたいな読み方はもちろんできると思います。森さんが早稲田の二文の方で、文キャンの学食、学読だろう舞台もでできてにやにや。

 

 お気に入りのふたつについて記録。

 

<犬の散歩>

 保健所の犬に飼い主をみつくろうボランティアをしている主人公、恵利子。彼女がもやもや考えていることに毎回同意!同意!ってなって全文メモしてしまう勢いでした。

 

飼い主探しのビラ配りに対して示す反応は様々。

これは人間の優劣の問題でも善悪の問題でもなく、ただたんに、興味のベクトルの問題なのだ。恵利子が相撲にまったく興味を持てないように、ゾウリムシの生態に思いをめぐらせたことがないように、自分たちが肥満したのはマクドナルドのせいだと訴訟を起こす人々の気が知れないように、見る人が見れば恵利子のしていることなど「だからなに?」程度の事でしかない。(P.66)

 

「世界には食うに困って飢え死にしていく人間だっているのに、犬助けとは、まったく優雅なもんだ」(P.68)

これな。海外ボランティアに行って熱心に活動している人もいれば、興味はないけどすごいなーと眺めている人、逆に嫌悪感を持っている人。どれがいいとかなくて、興味のベクトルの違いだよねとある意味切り捨ててしまうのは、冷たいのでしょうか、、、?

 

「なんでそんなん行こうと思ったの?!」と劇的なストーリーを求められる(ように思える)場合も多いです。でも正直自分としては自然に、、、としか言えない(笑)誰しも納得できるような分かりやすいきっかけとかないです。

一言でいえばなりゆきかな、と多少、肩の力が抜けてきた昨今の恵利子は思っている。

長く閉ざしていた瞼を開いたとき、恵利子の前に現れたのは寝たきりの老人でも虐待に苦しむ子供でも遠い国の難民でもなく、人間に捨てられ人間に捕らえられた無数の犬たちだった。(P.72)

 

かといって、なりゆきでまったく意思がないわけではなく、責任感とか罪悪感とかノブレスオブリージュ的な意識はあります。

 目をそむけてさえいれば、恵利子の毎日はそこそこ平穏に、波風もなくゆるゆると通りすぎていった。… 本当にこれでいいのかと、こうして死ぬまでゆるゆると年だけを重ねていくのだろうかと、形にならない疑問がうごめいてもいた。(P.78)

 

また、レストランのランチタイム。30代の女性主婦2人が、イラクで拉致され解放された日本人について話しているのが聞こえてくる場面。売名行為だ、自己責任だ、身代金が税金から支払われるのは迷惑、という声。

税金を納めている自分には無分別な日本の若者を裁く権利がある、とでもいうように、内心はその志や行動力が妬ましくもある彼らのことをふんぞり返ってながめていた。(P.79)

自分が払った税金の使い道について考えを持つのは正しいですが、「裁く権利がある」というとまでの認識になる(たぶん無意識)と行きすぎかもなぁと。

 

ボランティアという言葉を聞くと、善行のふりをしてじつは儲けているんじゃないの、という顔をする人が意外と多い。どんな事象もつぶさに調べればその襞に利害がひそんでいる、と信じて疑わない人たちが。(P.83)

 これも深刻な問題だよなー。駅で震災の犬猫のお世話の募金したよーって話を友達にしたら、「それ全部詐欺だよ」と言われてショックだったのを思い出します。それがどの程度信憑性のある噂なのか、そもそもそこらで見るボランティア団体に対する募金はちゃんとしたものなのか、調べるすべがないから困ります。現金って足がつかないし。これが例えばブロックチェーンの技術で解決できるなら、めっちゃいいかも!?

 

ブロックチェーンは以下↓

locayrica.hatenablog.com

 

自分にあてはめられるセリフ満載なエピソードでした。

 

<風に舞い上がるビニールシート>

本のタイトルとなってもいるこの話が本のトリを飾ります!迫力。名作。

 

UNHCRに勤める男女ふたり。フィールドすなわち難民が発生するような危険地域に身を置くことにこだわる男性・エドと、彼の仕事に理解は示しつつも一般的な温かい家庭も築きたいバリキャリ・理佳。

 

国際協力ってほんまにある面では偽善で息苦しくて泥臭くて暗い仕事なんだろうなーと感じ始めています。栃木でいろんな活動をしている人が「気持ちいい程度に人を助けるって楽なんですよね。それが悪いとは言わないし、それをする人がいてくれて本当にありがたい。でも、だれかは嫌な部分も全部正面からみて挑まないとだめ」って言ってました。説得力ありすぎ。自分はそこまでどっぷりつかる根性あるだろうか。そうありたいな。

 

 世間から見ると、世界を股にかける高給取り国際公務員アメリカ人と結婚し、白金台のマンションに住む彼女は羨望の目でみられます。夫が年中紛争地域にいて連絡も取れない、難民の命より夫の命を案じてしまう心もち、そんな辛い実情を説明してもわかってもらえません。

彼らはエドの深刻な任務など知りたいわけではないのだ。かつての自分がそうであったように、ただ景気の良い話をして盛りあがりたいだけなのだ。難解で重苦しい事実は見て見ぬふりをされる、それもこの世界の機能の1部ではないか。(P.284)

 

決定的に二人を引き裂いたのは、子どもを持つか否かの話です。エドの言い分は、

風に舞いあがるビニールシートがあとを絶たないんだ。…人の命も、尊厳も、ささやかな幸福も、ビニールシートみたいに簡単に舞いあがり、もみくしゃになって飛ばされていく…暴力的な風が吹いたとき、真っ先に飛ばさるのは弱い立場の人たちだ。老人や女性や子供、それに生まれて間もない赤ん坊たちだ。誰かが手をさしのべて助けなければならない。どれだけ手があっても足りないほどなんだ。だから僕は思うんだよ、自分の子供を育てる時間や労力があるのなら、すでに生まれた彼らのためにそれを捧げるべきだって。それが、富める者ばかりがますます富んでいくこの世界のシステムに加担してる僕らの責任だって」(P.290)

 うあぁぁぁ加担、、、責任、、、贖罪、、、

 

理佳

「私たち夫婦のささやかな幸せだって、吹けば飛ぶようなものなんじゃないの?あなたがフィールドにいるあいだ、私はひとりでそれに必死でしがみついているのよ。あなたはなにをしてくれたの?」

 

エド

「仮に飛ばされたって日本にいるかぎり、君は必ず安全などこかに着地できるよ。どんな風も君の命までは奪わない。生まれ育った家を焼かれて帰る場所を失うことも、目の前で家族を殺されることもない。好きなものを腹いっぱい食べて、温かいベッドで眠ることができる。それを、フィールドでは幸せと呼ぶんだ」

日本は日本で課題山積なのはそうだけども、もっとやばい次元で苦しんでる人がいるんだよなーーーーーこれも上で出てきた「興味のベクトル」で説明できてしまうのかも。

 

まぁそんな感じでエドと理佳はあれやこれやなってしまいます。エドはアフガンであれやこれやなってしまい、複雑な過去をかかえた彼にとってはあれやこれやなあれこれになります。とりあえず涙。それを受けて理佳はあれやこれやなってとりあえず涙。

 

エドの身の捧げ方はすんごいなぁと 、ボキャ貧も甚だしいけど、すんごいなぁと思います。

 

ネタばれにならないように説明試みるとやばい感じになりましたが、さすがは直木賞受賞作です。ぜひご一読ください。

確定申告なんとか終わらせたぜ〜

いろんな書類に追われて小忙しくしてます。

 

確定申告、一番シンプルなリーマンパターンだと特にする必要もなかったのですが、一昨年から途上国に寄付を始めたので「寄附金控除」というやつを受けるために昨年からいっちょまえに確定申告してます(^ν^)

 

昨年は初めてということもあり、全然わからんので会社からもらった給与所得の源泉徴収票、寄付先の公益財団法人からもらった寄付金領収書なんかをにぎって税務署にノコノコ出向きました。

 

しかし、

激混み。ディズニー状態。

 

今年はマイナンバーがプラスで関わってくるくらいで去年と要領は同じなので、自宅PCで書式作成•印刷⇨郵送!で対応してみました〜。

 

税務署のHPで作成できるようになってます。決まったところを粛々と入力していけばできました。税金のしくみって犯罪級にややこしいけど、このページは割とわかりやすいなぁという印象です!

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それに免許証コピーやマイナンバー通知書コピー、寄付金領収書の原本なんかをぺたぺた貼って、全部まとめて郵送!

 

早く還付金きてくれ〜だいたい3万円の寄付で1万円戻ってくるのはいたくありがたい(°▽°)確定申告すると否が応でも税金に興味を持てるので、寄付でもふるさと納税でも投資信託の利益多いでもなんでもいいけど、特に天引きで税金を意識してないリーマンにはおすすめ。

仏教に立ち返って写経した!

キリスト教の環境にいたら部外者であることをひしと感じたので、久々に写経に興じてみました。

興じるといっても下手すぎてぐぬぬぬ状態やけど、それでも楽しいね〜墨をすりすりするのは豊かな気持ちになるね〜

 

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お参りするとき、仏教にはいろんな頑張り方があって、「南無」といったり、真言宗だったら「おんころころせんだりまとうぎそわか」(←薬師如来のご真言)といったり、「般若波羅蜜多〜」と般若心経読んだり、これみたいに写経したものを奉納したり、はたまたマニ車をくるっと回すとお経一回読んだのと同じ効力になったり。四国八十八ヶ所歩き遍路したり、でさくさく回ったり。

 

これを通して私/仏教徒たちは何をしているんでしょう?キリスト教だと祝福してくれるよう、赦してくれるよう、導いてくれるように神様に祈る。

仏教は....?「仏にすがる」...が一番しっくりくる言葉だろうかね。でもすがるってなに?何をしてるかよくわからないまま、お寺なり仏壇なりお墓なり神社なりで手を合わせている意識低い系人間です。

 

とりあえず、キリスト教が三位一体説で「父、子、精霊」と言うなら、私は「神様、仏様、ご先祖様」とでも前置きをつけようかなと思います。

 

一文字一文字書いてると(ゲシュタルト崩壊しそうになったし、)何度も出てくる字があってふと気になったので、頻出漢字ランキング(私調べ)を作りました。般若心経、全276文字中、

 

一位  21回

無 

 

二位 9回

是 羅

 

四位 8回

不 波

  

六位 7回

般 若 空 故 

 

無が一番にくるあたりがやっぱり好き。みんな大好き般若心経。

 

摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是舎利子 是諸法空相 不生不滅不垢不浄不増不減 是故空中 無色無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界乃至無意識界 無無明亦無無明尽 乃至無老死亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙無罣礙故 無有恐怖 遠離一切 顛倒夢想 究竟涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多 是大神呪是大明呪 是無上呪 是無等等呪 能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪
即説呪曰 羯諦羯諦波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶 般若心経 

 

写経したのはお寺に奉納してきまーす。

Book Review『お米の図鑑』

 

大研究 お米の図鑑

大研究 お米の図鑑

 

 好き度: ★★★★☆

 

恥ずかしながらまっったく食に関する常識、興味関心がなかったので、子ども向け基本書からスタート!さすが超わかりやすいし、一方で米での税のところなんかは高校日本史レベルでした!

 

栃木・アジア学院では稲作には関わらなかったものの、当然ながらリンクする知識がいっぱいありました。わーい。

 

例えば、

イネが育つのに必要なのは、リン酸・チッ素・ケイ酸・マグネシウムカリウム・有機物といった養分がふくまれる豊かな土。(P.11) 

植物にとっての五大栄養分はN(Nitrogen/チッ素)、P (Phosphorus/リン)、K(Potassium/カリ)、Mg(Magnesium)、Ca(Calcium) というのは繰り返しでできたことです。習う前やったら化学っぽいとこ全部読み飛ばしただろうな(笑)

 

あとは、

イネ

↓ △実以外

もみ(Paddy)

↓ △もみがら(Rice husk)

玄米(Brown rice)

↓ △ぬか(Rice bran)

胚芽米

↓ △胚芽

白米(White rice)

 アジア学院では英語で授業が進むのですが、そもそも日本語ベースの知識があやふやで苦労しました。

 

雑草・害虫のページでは

クログワイ・・・一見、ネギのような植物。はんしょく力が強いよ。放っておくと、どんどん広がって、イネを倒してしまうぞ。

でたクログワイ!!有機農家さんでお話をうかがったとき、耳から新単語がはいってきて理解できずノートには「クロムガイ?グアイ」と跡が残っていましたwその方いわく、超強い雑草で、田んぼで発見したらめちゃくちゃ落ち込むらしいです。収穫量を顕著に減らす威力の持ち主だそう。。

 

他ふむふむとなったのが

<稲荷寿司とキツネ>…キツネは、ネズミを捕まえてエサにすることや、皮ふの色やしっぽの形がイネの穂に似ていることから、稲荷神の使いとして位置づけられたとされる。だから、稲荷神社には、よくキツネがまつられているんだ。ちなみに全国にある稲荷神社の総本山は京都の伏見稲荷大社だよ。稲荷寿司は、米俵の形をしているよ。(P.69)

キツネ=神様じゃないんやな!

 

減反政策について、

2018年ごろには廃止されることになっているよ。(P.73)

一昔前のイメージが強かったけど、今でも続いてたのか。wikiによると、平成6年に制定された主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(通称:食糧法)という行政法に基づいた政策で、安倍首相が2018年に終わると発表したらしいです。

 

そんなこんなで、今までコイン精米すら使ったことがなかったので、精米してきました!

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↑手順はこんな感じ。10kg100円です。

 

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 ↑玄米をずしゃーっといれて、精米具合を選んだら簡単にできました。

 

マラウイではネリカ米というアフリカにぴったりな米を普及するらしいのですが、コーンが主食なのでなかなか根付かないらしいです。文化を壊さない程度にリスクヘッジの意味合いでお米を作ってもらえると嬉しいなーと思います。お米大好き〜〜!

 

 おわり。