Book Review『「情報」を学び直す』
好き度: ★★★★☆
学び「直す」と言うにはおこがましいほど疎い私ですが、なぜかするする〜っと手が伸びて買ってしまいました。
2007年の本なので、動きがとにかく早いこの分野のこと、現在2016verで改訂するとすれば山ほどアップデート箇所があると思いますが、基本的な考え方の部分は今も有効だろうし平易なことばで読みやすかったです!
2015年の超超超超お気に入り本、↓
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)
- 作者: 松尾豊
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本
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↑これと同じ雰囲気の内容、わかりやすさでした!(最新事情を知りたい方はこちらを!)
著者の石井さんは学生時代は東大の工学系のところにいましたが、今は文理融合の「情報」を扱っているらしい。the文系人間の気持ちもわかる方だからこそ、(特に)文系に卑近な具体例ふんだんなんだろうな!
さて、以下内容をざっと復習します。
―「情報」はどこから来たか?
日本でこの言葉が最初に使われたのは、1876年(明治9年)、フランスの軍事教育用の兵書を訳した本にて。'renseignement'の和訳として「情報」という言葉を充てたそうです。「敵情の報知」を縮めた表現とのこと、時代背景をもろに反影した起こりだったんですね。
今や「受験は情報戦だよね~」「情報系の人」等すっかりおなじみの言葉ですが、この「情報」を工学的な研究対象として定義し直したのが、1949年に情報理論を発表したシャノンさんです。この人は本の中でも繰り返し出てくるので、Very Important Personだと思います!
シャノンは情報の量を電圧や電流のように計測可能なものとして定義しました。よく知られているように、ビット(bit)という単位です。(P.33)
―情報を理解するのに必須な「確率」の話
えぇ~苦手すぎて混乱しながら心で泣きながら流し読みしました(笑)
問題 クジが100本あり、1本が当たり、残り99本は外れであるが、外からは見分けがつかないようになっている。いま甲、乙2人が順番にこのクジを引くものとする。まず、甲が100本のクジの中から最初に1本引き、内容を確認せずにそのまま保持しておく。次に、残りの99本のクジから乙が1本引いて内容を確認したところ、外れであった。この時点で先に引いた甲のクジが当たりである確率を求めよ。(P.36)
これはベンチマークテストというものらしいです。答えは1/99です。100本のクジじゃなくて2本のクジで考えたらすぐわかるよ、という話。
他にも百人一首の「むすめふさほせ」って知ってますか?
元・競技かるた部員が説明いたしますと(どやっʕʘ‿ʘʔ)、百人一首には一字決まりの歌が100枚中7枚あって、その頭文字が「む・す・め・ふ・さ・ほ・せ」なのです。情報学的にみると、「む」が読まれること=その他99枚の可能性が排除される情報、ということらしいです。
※もっと細かく(正確に?)言えば、かるたを取る人は子音を聞いているので、「む」のMの音で「み」5枚、「む」1枚、「め」1枚、「も」2枚の計9枚/100に絞っています。
―タスク指向型コミュニケーションと冗長性
極力短いやりとりで当初の目的を達成しようという効率化の追及を反映した、タスク指向型コミュニケーション。仕事なりなんなり、'端的に'、'簡潔に'、を意識する場面があると思います。逆に、同じことを複数回繰り返すと、ある内容を伝えるには無駄が生じてしまうのですが、この冗長性こそが頑健性をつくるというのがおもしろかったです!
具体例は本にあるのを見ていただきたいですー図が必要。笑
その他、マスキングされた画像は勝手に脳内で補正されて、本来ないはずの図形がうかびあがる、、!という例や、背景知識を伴うコミュニケーションは伝達云々だけの問題じゃないよねーとか、脳の情報処理のしくみをコンピュータとか人口知能に応用する~とか、ふむふむーとなりました。
高校数Cの条件付確率の話、ITパスポート受験時のbitとかの内容、上にリンクを貼った松尾豊さんのAI本、今までのいろんな知識のかけらが組み合わさって少し頭の整理がついたような気がします。
本のレビューって難しいーー、印象に強く残ったところと本の骨子はずれとることも多いし。情報処理レベルの低い脳みそが恨めしい。
それでは!また!