海外飛び出すことになったブログ

やっと海外行きが決定しました。ミーハーな海外フリークがthinkとdoをこつこつ記録します。

Book Review『グローバリゼーションと人間の安全保障』

 

グローバリゼーションと人間の安全保障

グローバリゼーションと人間の安全保障

 

 好き度:★★★★☆

 

恥ずかしながら、アマルティア・センの著作は読んだことがなく、彼の考え方についても全然把握していなかったのですが、ついにふわっと理解開始しました。

 

アマルティア・センといえば1998年にアジアで初めてノーベル経済学賞をとったインドの経済学者です。

 

読みやすいけど消化できたかはまた別問題。細切れ時間に読み進めても頭に残すには、集中力をあげたらいいんかなぁ、、? 

 

まー印象的な部分を記録していきます。

 

【1.グローバリゼーションは今に始まったことではない】

 

グローバリゼーションに対して、どんな印象をもっていますか?私は、「一部の人が恩恵をますます被るからテコ入れが必要やけど、結局強者に飲み込まれていく抗いがたい世界の潮流」みたいなネガティブなイメージを持っていました。影響力の絶大なグローバル企業が世界を牛耳っていく、みたいな。でもそう思っている人にこそ、センの考え方は響くんじゃないかと思います。

 

グローバルな科学と技術の進歩は、決して欧米の独占指導によるものでなかった(P.21)

 

具体例をあげればきりがないですが、中国の活版印刷、火薬、インドのゼロの概念、中東の学問等 ⇒ 西洋へ流入 ⇒ 深まってまた伝播。このようにグローバリゼーションは歴史的に双方向だったんですね。

こんなん世界史を勉強したら一瞬で習うのに、現代世界での「グローバリゼーション」と頭の中で結びついてなかったです。

 

あときゃぴーとなった面白発見!

代数って英語でalgebra(アルジブラ)というんですが(英語の授業で習ったばかり!)、これについて。

アルゴリズム(アラビア記数法)は9世紀前半に活躍したアラビアの数学者アル・フワーリズミーの名を記念している。ムハンマド・イブン=ムーサ―・アル=フワーリズミー(Mohammad Ibn Musa-al-Khwarizmi) アルジブラ(代数学)の語源も彼の有名な著作である『ジャブル・ムカバーラ』Al Jabr wa-al-Muqabilah に由来する。

頭に「アル」がつくとアラビア由来です。スペイン・グラナダアルハンブラ宮殿もそうですね。アラビア語alは冠詞です。中東メディアのアルジャジーラとかも。

 

そもそも、「西洋」「非西洋」「アラビア世界」「アジア」と区別することも間違っているとセンはいいます。確かにね。境界ってあくまでグラデーション的で線引きは人為的なものやしね。

 

結論、 グローバリゼーション=悪 の図式は間違っているというんですね。じゃあ何を問題にすべきなんでしょう?

 

グローバリゼーションの主たる論点は、豊かさの格差、政治的、社会的、経済的な機会と権力の配分に見られる大きな不均衡に起因する問題。

貧しい人々が必要としているものを、グローバリゼーションによって現実に取得できるようにすることが重要(P.34)

 

そのためには、何が必要なんでしょう?

グローバルな不平等の解消に関する問題と人間の安全保障の考え方が重要。

 

人間の安全保障

 

グローバリゼーションは富める者をいっそう豊かにし、貧しい者をいっそう貧しくするとよく論じられますが、そのような結果になる場合でも、実際にすべてが画一的にそうなるわけでは決してありません。経済繁栄についてどのような指標をとるかによって、事態は大きく変わり、そこから出てくる答えも一様ではありません。グローバリゼーション反対の論拠を、単純に一枚の薄氷の上に置くことは、グローバリゼーション批判の論拠をきわめて危うくしてしまいます。(P.54)

 

【2.市場主義経済のテコ入れ】  

グローバリゼーション自体はおっけーなものだとして、それを運営?する市場主義経済はどうなんでしょ?

 

市場経済を活用することは、さまざまな所有形態、資源供給力、社会的機会、特許法独占禁止法の運営ルールなどと両立します。そして、それらの条件いかんによって異なった価格、交易条件、所得配分などが決まり、全体として異なる結果が創出されることになります。また、社会安全保障の仕組みや公共政策への介入仕組みなどによっても、市場経済プロセスの結果をさらに修正することができます。こうしたことすべてによって、不公平や貧困の現状レベルを大きく変えることができるのです。(P.59)

 

不完全なところを修正しながら市場主義を貫くべしって。市場主義の強みである交易の機会や生産の専門化などを活用することなしに経済が繁栄することはないとまで言っています。

 

ただし、貧困層を貧困に追いやっている大きな原因のひとつが、大国によるグローバル規模での武器輸出。

 

モブツやサヴィンビらのような軍事独裁者たちが、アフリカ諸国内の社会的、政治的機構を破壊し、最終的には経済秩序まで破戒してしまうにいたったのは、彼らが米ソいずれかを選びそれぞれの支援を頼ることができたからでした。したがって大国は、アフリカにおける民主主義転覆を助長した大きな責任があるのです。また、アフリカ諸国に武器を押しつけ続けたことは、アフリカだけではなくその他の地域においても、武力抗争をエスカレートさせる役割を果たし続けることにもなりました。(P.65)

 

【3.宗教学校への疑問】 

 個人のアイデンティティーについて考えたとき、宗教というのはあくまでもひとつの側面にすぎません。例えば同じイスラム教を信仰していても、支持する政党、卒業した学校、所属する地域、応援するサッカーチームなどはばらばらですよね。アイデンティティーには複数性があります。

 

ところが、宗教経営の宗教学校にこどもをいれてしまうと、「自分の文化」に関する知識が狭く教えられてしまうがために、子どもたちがどう生きるかの選択をするために十分な情報が与えられないことがあります。

教育の目的は、自分や自分の家族が何らかの形で「属している」文化を含めて、世界における様々な文化について教えることだけではありません。教育は、理性的に考える力を滋養し、後の人生で自由を行使する手助けをするために行われるのです。(P.94)

上記の理由から、センは宗教学校に関しては否定的な立場をとっています。

 

私個人のケースでいうと、幼稚園は自分の信仰していないキリスト教系のところでした。海外ではそんなことはあまりないのかもしれませんが、今思えば楽しかったですけどね。

 

【4.文明は衝突しない】

 

西洋とアジアを対比して、それぞれが独自性の確立を試みることを通してアイデンティティーを求めようとする風潮がさかんになっています。そしてこうした風潮は、西洋文化の会派的特性を確立しようとする西洋人と、逆にそのような特性とは対立するアジア文化の排他的特性を示そうとするアジア人とによって、共に推進されているのです。このように非西洋社会が西洋社会といかに異質であるかを示すのは効果的で、しかもそれは人為的な違いを補強し、固定化することにつながります。(P.127)

 

JICAの訓練所では日本(人)研究の時間があり、自由に研究課題を設定してとりくむことができます。(ちなみに私は神道について研究しました。)テーマ選びの際にメンバーの一人が「違いばかりじゃなくて同じところを比べるのもおもしろいよねー」と言っていました。まさにセンの言うところと同じ。世界と日本を考えたときに、どうしても違いばかりに目がいってしまうのは当然っちゃ当然でしょう。でも同じ人間やし共通点もあって、そこに着目するのも外国にいくときには必要な視点なのかなと思います。

 

 

こんな感じで。

読書は捗ってないし、英語は伸びた実感ないし、軟禁状態の生活にぐぬぬぬってなってますが、ちょいちょいカンフル剤いれて訓練中に成長できるように頑張ります!