Book Review『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』
ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -
- 作者: 佐々木典士
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2015/06/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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好き度:★★★☆☆
アフリカに2年住む予定でスーツケース1つとバックパック1つで日本を離れました。今は引っ越し準備で、首都で生活用品を山ほど、まじで山ほど買い込んでいる最中です。
物が多めの自分としては流行りのミニマリストってなんぞやと思って読みましたー
たぶんすっきり生きたい!みたいな人が読む本なんですけど、世界最貧国で読むと感じるところもちょっと異なる気がします。第一に思ったのが、一歩家の外に出れば必要なものが必要なだけ、むしろ過剰にあるからこそミニマリズムは成り立つんじゃないかなーということ。まだ物が不足している国では、段階が違うなぁと。
あと、
廊下には何も出さず、ゴミ箱も置かない。徹底したミニマリストぶり。冷蔵庫や炊飯器、電子レンジ、必要なモノだけが部屋にある。
という記述があるんですが、当地では冷蔵庫も炊飯器も電子レンジもないのがデフォなので、あー日本金持ちやなぁ、、ってなりました(笑)冷蔵庫は現地人にとってone of the most高価な買い物な位置付けで、金持ち度の指標にもなりえます。あまちゃんな私は冷蔵庫だけは中古で160,000クワチャ(24,000円)のシャープ製品を買いました。高い、お金ふっとんでく、、
話がそれました。
物を持ちたがる理論的なところは勉強になります。
○サンクコスト(埋没費用):すでに投下してしまい、戻ってこないコスト
○ツァイガルニク効果:やった後悔よりやらなかった後悔の方が強く印象に残る
○人間は「差」を認識する
以下はミニマリストの核心部分。
モノを手に入れるため、手に入れたモノを維持·管理するために、ぼくたちは時間もエネルギーも使い果たしている。その努力があまりに懸命なので、道具だったはずのモノたちは、いつしかぼくたちの主人となってしまう。36
必要なモノは全部持っていたのに、自分に足りないモノばかりに目がいってちっともしあわせではなかった。あれを手に入れさえすれば自分はしあわせになれるのに。あれがないせいで自分はしあわせでない、という発想だ。42
モノを少なくすることは「目的」ではない。ミニマリズムはそれぞれが違う大事なものを見つけるための「手段」。49
モノは自分ではないし当然主人でもない。かつてただの道具だったのだ。誰かの目線のためにあるモノでなく、自分にとって必要なモノだけ持とう。98
こういうマインドなんやなぁというのがわかります。
あとこれは鋭い指摘。
「自分だけのモノを持ちたい」という願望には、誰かに迷惑をかけたくない、誰かに余計な手間をかけたくない、つまり人と関わるのが億劫だという気持ちがセットになっている。139
↑まさに私のこと。ぎくっ!
今はシェアエコ文化の普及で、少しずつ変わり始めているのかなぁ。途上国は物がむやみに溢れる段階をすっとばしてシェアの文化をダイレクトに深めてくれたら地球にもいいよなーと思うけど、それは先進国の勝手な都合なんだろうか。
ものがないところで備蓄がないのは生死に関わるけど、買い出しもほどほどにしよかなーと考え直せる本でした。
Book Review『キューバでアミーゴ!』
好き度:★★★☆☆
たかのてるこさんの作品はおそらく3作品目。「ガンジス川でバタフライ」の文章のみずみずしさがわりと衝撃的で、次に読んだ「ジプシーにようこそ!」は自分と考え似すぎやなーと思っている方です。
行きたい国リスト上位にずっと鎮座しているキューバ、スペイン語が形になり始めたらほんまに行こーー!
キューバと言えば、クラシックカーや社会主義、ゲバラ、ブエナビスタソシアルクラブのイメージですが、この本でそのイメージがさらに上乗せされて濃厚になりました。
キューバは全体的に底抜けに明るい雰囲気なのに、その一方で、どこか切なく、そこはかとない哀愁を感じてならないのだ。p18
社会主義のドン、ロシアは行ったことないけど自分の中では暗く冷たいキャラの国。中国、ベトナムは気のせいか底冷えする感じ?キューバもラテンの明るさと併存する独特の雰囲気があるんだろうか。。気になる!
あと、キューバはカリブ海に浮かぶ国ですが、黒人系の人が多くいます。奴隷として連れてこられた経緯があって、ミックスカルチャーの聖地みたいなところです。
宗教について言えば「サンテリア」というアフリカの神々とカトリックがドッキングしたキューバ独自の宗教があるそう。
黒人奴隷はアフリカの神々の信仰を禁じられており、隠れ蓑としてカトリックの聖人をアフリカの神々に見立てて祈った。
↑これって仏教と神道をうまく整合性とるための本地垂迹説といっしょですよね!きゃぴー
サンテリアはナイジェリアのヨルバ族という部族がシンジテイタ神々がルーツなのだが、中部アフリカのコンゴがルーツの黒人は、彼らの土着の神々とカトリックを合体させた、また別の宗教を信じていたりするのだという。一口にアフリカ系キューバ人といっても、カトリックを信じている人もいるし、祖先がどの地域から連れてこられたかによって信じる神が違ったりと、宗教事情はなんとも複雑なのだった。P.156
アフリカはアフリカとして一口に語られるの、いややなー変えたい。
以下は、たかのてるこさんのいいこと言った集。
ふと、どんな人も意識していないだけで、人はいつだって人生の共演者を探しているのかもしれないなと思う。主演はもちろん自分。イイ男や女がいれば相手役に、気の合う人が見つかれば共演者に、縁がなくて出会うことのない人はみな、その他大勢のエキストラだ。監督も自分だから、キャストの選択も、ストーリーをどうするかも、自分次第。恋愛至上主義の人はラブストーリーを作り続けるだろうし、コメディ好きでセンチな私は、いっしょに笑ったり喜び合ったりできる共演者を求めて、日常をロードムービーのように楽しんでいたい。124
もし世界中の国を均して、金持ちの国から財産を没収して貧しい国とごちゃまぜにして分配したら、私は間違いなく、今とは同じ生活は送れなくなるだろう。...それでも、自分が金持ち側の国に属していることがときどきやりきれなくなるのも事実だし、このままみんながやりたい放題にしていたら、地球がもたないのは目に見えている。「エコ」とか「リサイクル」みたいな考えに地球全体が目覚め始めた今、モノを大事にしながら楽しく生きる工夫をしているキューバには、見習うべきところがたくさんあるような気がしてならなかった。p254
途上国にとびこんだところで自分がスーパーマンになるわけじゃないので、何ができるかなーと日々考えあぐねています。むあーあー。
Book Review『地の漂流者たち』
好き度:★★★☆☆
途上国生活そのもの、またそれに慣れるのにエネルギーが必要でなかなか読書が捗らないという自分への言い訳をしつつ、のろのろと読みました。(電気が暗いとか体調管理とか生活リズム作りとか..)
沢木耕太郎先生といえばバックパッカーのバイブル『深夜特急』(好き!!!!)しか知らなかったのですが、今回の本は短編ルポ6個で構成されたものです。自衛官、アングラ演劇、ピンク映画、歌、沖縄出身者、転職者界隈の話がそれぞれ綴られています。
沢木耕太郎がまさに足で拾ってきた情報だなぁとひしひし感じるし、考察おもろーってなります。いずれも1970-72に書かれたもの。沖縄返還前なので、それについてはだいぶ状況が変わったのかなと思いますが、その他は約50年たった2017年現在でも共通することがたくさん含まれている気がします。
「性の戦士」の章は全部書き移したいくらいおもしろい!
ピンク映画は決してセックス映画ではなかった。セックスそのものを対象とするのではなく、"女性の裸体"を見せるための映画だった。p.87
たとえピンク映画がセックスを真正面から対象としたものでなくとも、それを取り巻いている人間や状況は現代の「性」と深く関わっている、と。ジャーナリズムはフリーセックスとかホモやレズとかの尖端的な部分でのみ現代の性を把えがちだが、それよりトイレでイラスト入りの落書を丹念にかいている男とか、見ながらマスターベーションしている学生のいるピンク映画館にこそ、現代の性があるにちがいなかった。p.87
LGBTという言葉もずいぶん注釈なしで使われるようになりました。ただそれだけで現代の性は語れんというんですねー。そこはかとなく侘しさ漂うピンク映画館の描写を読んでいると、現代はニヒルというか、けだるさというか、アンニュイというか、 そういう空気がたちこめてるなーと。途上国にはまってしまうのは、そういうのがないからかな?
「この寂しき求道者の群れ」ではアングラ演劇の世界に身を浸した人々が出てきます。
ある人は新劇と対比して
オペラがくだらない地上の総合芸術なら、アングラは、ジャズやロックにダンスやイラストまで入った地下の総合芸術だな。p66
と言います。
また、
不安じゃないといったらウソになる。でも展望がなければ耐えられないような人は、はじめから劇団に加わらないさ p80
「展望がなければ耐えられない」これ自分のことかなってびびっときた!そんなふうに自覚したことはなかったし、展望はもってしかるべきと思ってました。
演劇は経験が全くないですが、大学で立看板があったり劇団やってる人に話を聞いたりしたことがあります。ひとくせ(もふたくせも)ある感じ、とても素敵で好きです。
演じるって特定の機会がないとふれることがない行為やけど、やってみたら見えるものも広くなるんだろうなーと想像。
自分も沢木耕太郎にインタビューされたら「漂流者たち」に分類されるだろうか、どうだろうか。たぶん漂流してない人はこの本に興味すら持たないかもなぁと思った今日でした。
Book Review『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の旅』
好き度:★★★☆☆
村上春樹の作品はおそらく4冊目。大好きな友達が前読んでいた、で、マラウイのドミトリーで発見したので手に取った。
ストーリーを要約すると何がおもしろいかわからんことになるから、要約すべき本じゃないんだろなと思う。そこをあえて要約すると、高校時代の仲良し男女5人組のひとりが多崎つくるであって、大学生になって理由もわからず突如関係が破綻。その理由を探りにいくというもの。
村上春樹って言葉のフローがこじゃれていて小気味いい感じ。好き嫌いはあるだろうけど、きゅんとくるフレーズが散らばっている。
多崎つくると私、共通する思考というのがちょいちょい出てくる。彼の特徴は
「とりたてて破綻がない」p13
この表現が一番好きだった。そして笑った!
しかしつくるのまわりには、個人的に興味を惹かれる人物が一人も見当たらなかった。高校時代に彼が巡り合ったカラフルで刺激的な四人の男女に比べれば、誰も彼も活気を欠き、平板で無個性に見えた。p27
これ、自分が無個性なことを棚にあげて他者におもしろさを求める身勝手さが私と同じやなってくすりとくる。
「誰かを真剣に愛するようになり、必要とするようになり、そのあげくある日突然、何の前置きもなくその相手がどこかに姿を消して、一人であとに取り残されることを僕は怯えていたのかもしれない」p109
つくるさん、、そりゃ怖いよね。。これについて沙羅さんの指摘は以下。
だからあなたはいつも意識的にせよ無意識的にせよ、相手とのあいだに適当な距離を置くようにしていた。あるいは適当な距離を置くことのできる女性を選んでいた。自分が傷つかずに済むように。
つくるは人並みに恋人をつくったりもした。でも暫くしたら別れる。
その年上のガールフレンドに対して、穏やかな好意と健康的な肉欲以上のものを感じることが、彼にはどうしてもできなかったから。p134
色彩がないとか個性がないとか自己評価してきたつくるだけど、沙羅さんいわく、
生きている限り個性は誰にでもある。それが表から見えやすい人と、見えにくい人がいるだけよ。p315
ちょっと救われた!でも、それって没個性を悪としてとらえているからかなーとも気づいた。
題名の「色彩をもたない」の意味は序盤ですぐ納得したけど、「巡礼の旅」というのはそういう曲名が繰り返し作中で出てくる以外、何を意味しているのかずっとピンとこないまだった。でも最後の最後でわかった。何かを信じて巡ること。巡礼だ。信じることができる、つくる。それを自覚している、つくる。自分はそれとは違うなーと最後に思って終了した。
国際運転免許証をとった!
日本の免許証とはちがって、うっすい冊子みたいな形状。
7ヶ国語で運転できる車両について記載されてる。
◯400cc以下の二輪
◯普通車AT
日本語とEnglish、Español♡、ロシア、中国、アラビア、フランス語!国連公用語ですな。
有効期限は今日から1年。
2年後の自分に手紙を書いた。
同期のある人の計らいで、2年後の自分に手紙を書いた。2019年7月に、各自の家に郵送してくれるらしい。
はりきって筆をとったものの、案外凡庸なことしか書けず、字数もそこそこに切り上げてしまった。
内容は
•現状について自分はこう感じている
•2年間でこうなることを願っている
•2年後また次の目標に向かって頑張ってね
だけのシンプルなもの。構成はぐちゃぐちゃやし確か英語で書いたと思う。
2年後あけてみて、なんかおもろしろい発見あるかな?少なくとも、書いている間は過去じゃなくて未来に顔を向けさせてもらえる機会だったので今のところよしとしようか。