海外飛び出すことになったブログ

やっと海外に住みはじめました。ミーハーな海外フリークがthinkとdoをこつこつ記録します。

Book Review『人工知能が金融を支配する日』

 

人工知能が金融を支配する日

人工知能が金融を支配する日

 

 好き度: ★★★☆☆

 

本屋の店頭でふと目についた本。

 

人工知能に取って代わられる仕事がある、海外での人口知能の導入はすでに日本より数段階先を行っている、こういう状況を踏まえて日本の金融界はどう変わるべきかの提案が書かれています。

 

自分に思いあたるところがありすぎて、ぎくっとしたのが、

まったく個人的な推測ですが、日本の金融機関の文系出身の経営者にとって、キー•テクノロジーの中で理解可能だったのが仮想通貨に使われたブロックチェーンぐらいだったのかもしれません。機械学習など最新の人工知能の理解には、ベイズ推定など広範囲な統計や関連する数学の知識や、コンピュータ•アルゴリズムについての洞察力などが必要であり、慣れない頭では相当厳しいものがあるからです。(P.183)

イエス、相当厳しい!すべての単語に脚注必要なんじゃないか...ぐぬぬ..ってなりますね。人工知能の技術を金融に活用するフィンテック。日本では、ブロックチェーンの技術が押されてます。お金がどういう経路をたどってきたかがすべて記録されていて、電子マネーみたいにピッと支払いをするときに、過去の履歴と照合して不正なお金じゃないかとかがわかるらしいです。これは「犯収法!犯収法!(犯罪収益移転防止法)」と躍起になって不正なお金の移動をなくそうとしてる銀行(と超細かい本人確認に協力しないといけない利用者)にとっては、うまく使えばめちゃよさそうな技術。

今はまだピッから会計できるのに15分くらいかかるらしく、まだあまり普及していないと聞いたことがあります。

 

少しそれますが、ブロックチェーンの技術を使ったものとしてビットコインが挙げられます。昔アツいーーと感激してアカウントだけ作りましたが、なんか調べるのがめんどくなって放棄してました。。が、改めてHPみてみると、ほんまおもしろくて考えた人神やんってなります。

ビットコイン(Bitcoin)とは仮想の通貨【bitFlyer】

しかもビットコインを発案した人はなんと、誰かわからない。Satoshi Nakamotoと名乗る人がネットで発表した論文がもとやけど、本名かどうかも不明で、謎につつまれているとのこと。ウィーンの経済学者、フリードリヒ・フォン・ハイエク中央銀行は要らない~みたいなことを言いましたが、まさにそれな技術。詳しくはぜんぶ上のリンクで。

 

次はおきまり、人工知能の発達=人間の仕事減る!の話。

ロボット化の高いリスクにさらされているのは、単純労働ではなく、比較的高いノーハウを必要とするような仕事が多いことです。たとえば、クレジット•アナリストや融資係の仕事などは、経験と知識がいる仕事であり、20世紀までの機械がこうした仕事に対応することは簡単ではありませんでした。(P.164)

単純労働以外のものまで、ビッグデータで可能になってしまいます。膨大なデータから「こんな性質の人はちゃんと返済してくれる可能性が高い」、「この会社は土台に載らない」などを機械がより正確に判断することができるようになるそう。でも人間の仕事が機械に置き換えられるのはそう悲観することでもないと思っていて、例えば今飛脚はいないけど、車の登場を憎むことはないです。

 

では、人間は何をすべきか?

単に財務基盤や収益性だけでは測れない社会的意義の高い事業への融資などの金融サービスやアドバイス、さらにはより繊細な心遣いが必要な個人等に対するサービスをする業務(P.219)

 は機械任せにせず、人間が携わるほうがよいとの指摘でした。

 

そして、金融業界を俯瞰します。これまでの日本の金融機関は、、↓

金融行政においては当時の監督官庁である大蔵省が、各金融機関を手取り足取り指導することによって、すべての金融機関を破綻させないという政策をとりました。

護送船団方式のもう1つの特徴は、業界の垣根を高くして、異業種や異業態への相互参入を認めないというものです。銀行は銀行、証券は証券という領域には法律上の垣根が設けられていました。証券、銀行の違いだけでなく、銀行の中にも、外国為替専門銀行の東京銀行や、長期信用銀行はそれぞれ別々の法律に準拠して、非競争的な役割が与えられていたのです。(P.185)

 競争原理が働いていない、、、らしい(泣)

また今後は、

ビッグデータ機械学習による分析の時代に移行すれば、これまでの各社の個性の価値が失われる(P.217)

これも言われて久しいことです。 

 

そんな未来が待ち受ける金融業界。

日本がなすべきことは、アメリカのヘッジファンドのまねをすることではなく、最先端のテクノロジーに追いつき、世界に負けないような水準の独自のテクノロジーを作り上げ、それをできるだけ公共の目的で使用する(P.220)

 ヘッジファンドはとんでもない額の報酬で技術者を招き入れて開発に力を入れています。ただ、どこも技術の内容などの情報はほとんど外部に出さず、一部の人だけがその恩恵を享受していて、それにアクセスできない一般人は、実はもうすでに人工知能のトレーダーが席巻している取引所の株価、為替の乱高下にあたふたするだけというのが実情だそう。そういう意味で、彼らとは違う、公共性を持った人工知能の技術(の運用)を推奨しています。

 

金融庁ベンチマークというのを策定して、各金融機関が独自性を打ち出し、担保に依存したり決算書などの表面の数字に固執したりしない目利き融資をしていくように誘導しています。人工知能の利用と掛け合わせて、いけてる金融機関が日本にたくさんできればいいですね!

 

こういうことを考えていると、銀行でも解禁された保険や投資信託の販売は、銀行経営の柱にはなりえないよなぁと思ったりします。マイナス金利で利ざやがとれない昨今の当座の収入源ってイメージ。

 

最後に、おまけで関連おすすめ映画。

本の中にも出てきますが、人工知能から遡ってコンピュータというものの歴史を語るときには、この人の存在は欠かせません。アラン・チューリング。第二次大戦中にドイツ軍の暗号エニグマを解読すべく、コンピュータの原型を開発したイギリスの数学者です。本人も、自身をガリレオアインシュタインと並べて話しちゃうほどのすんごい人なんですが、知名度でいえば低いですよね。その理由は、イギリスがその技術もろもろをずっと隠し通してきたから!えげれすぅ、、、!彼が暗号解読に成功したおかげで第二次世界大戦は数年早く終結したとも言われています。

 

天才たちが寄り集まって、仕事をばああああっとこなしていくのは本当にかっこいいし、やっとのやっとで暗号解読できたのに「ああああまじかああ」というジレンマ、さらに彼への処遇のひどさたるや。同性愛の罪で化学的去勢とか。

 

画面からあふれるちょっと暗めのイギリス感、ほんまに秀逸な映画だったのでぜひ!

Book Review『芸能人寛容論』

 

芸能人寛容論: テレビの中のわだかまり

芸能人寛容論: テレビの中のわだかまり

 

 好き度:★★★☆☆

 

これも出版社勤めの友人に勧められた本。半年前に出版されたばかりだからか、図書館で2か月くらい予約待ちしてようやく手元にきました。

 

筆者の武田さんのユーモアがやばくて電車の中で読めばにやにやが止まらない!内容はタイトル通り、芸能人の分析。一人当たり5ページ前後、のべ53人について芸能界での立ち振る舞い、人気の理由などを考察しています。芸能ネタが散りばめられていて、詳しい人には共感だったり反感だったりの諸々の感情を引き起こすのではないかなぁと思います。

 

私はと言えば、この本で向井理が結婚したこと、ライオンさんのごきげんようの番組が終了したことを知ったくらい疎い部類なので、軽く楽しめました。逆に言えばこの私でさえ笑えるくらい有名な人たち、有名な事象をとりあげているってことか。

 

まえがきでは仰々しくもヴォルテールが登場!笑

このところ、殺伐とした世相を見定める論考のなかで、フランスの哲学者ヴォルテールが残したとされる名言「君の意見には反対だが、君が自分の意見を言う自由は命を懸けて守る」を頻繁に見かける。

でもまぁ実際にはみんな命懸けで守ってくれたりはしないので、この本では芸能人たちを必死に寛容してみようというもの。

 

ファシズム化する石原さとみの唇(P.16~)>

石原さとみは私たちの日常に深く根を張っていて、サブリミナル効果をも持つ。例えばぽってり唇はいいよね、という命題。

そのファシズムを運搬しているキーパーソンは間違いなく石原さとみである。そのポイントは、彼女の存在自体がサブリミナル化していることにある。… 常にこちらの無自覚を狙って入り込んでくる。... 政府広報に彼女が登場したら、細心の注意が必要である。彼女のサブリミナルはプロパガンダになりうる。

確かに周りの女の子でも、石原さとみになりたいって人は多く、盲目的に彼女のすべてを受け入れている印象。「石原さとみみたいになりたい」じゃなくて「石原さとみになりたい。」全員が同じ方向に向かう、、昔の松田聖子もこんな感じだったんだろうか?笑 私は迎合しない姿勢を貫きたいです。笑

 

池上彰依存社会(P.53~)>

テレビ東京の選挙番組で候補者や党首に対して、聞かれたくないことをズケズケと問う様子が「池上無双」との評判を呼んだが、その場面でも、自分の意見を投じるというよりも「ところで・・・という意見も出ていますね。その点はどうなのでしょう?」と突っ込んでいく。私はこう思うがどうなんだ、と突っ込むのではなく、こう思っている人も多いんじゃないですかと、どこからか一般論を持ってきてぶつけていく行為が「切れ味鋭い突っ込み」と手放しで礼賛されたのには違和感を覚える。

 これ、ほんま!池上さんは私も大好きでどちらかといえば信奉しているけど、この主張にはめっちゃ賛成。

 

さらに、池上さんは自分の意見は言わず、物事の整理に徹しているという幻想を抱くのも危険だなーと実感した事件がありました。↓

平均所得の推移のグラフが日米2か国分、2つ並べて提示されてます。横軸は年代、縦軸は1980年時点の数値を1とした比率。この2つのグラフの縦軸の目盛りが、全然違うかったんです!こりゃまずいよーーー

 

やっぱ批判能力って大事だ!

 

 <これからの「ピケティ」の話をしよう(P.58~)>

ピケティもサンデルも、名前のサウンドの心地よさがブームの一因であるという話だったり。当時、解説本が山ほど並んで、私も「マンガでわかる~」的なやつ読みました。日経BP社出版の『トマ・ピケティの新・資本論』という分厚めで割とガチなやつも買ったけど、オブジェと化してる(笑)

 

水原希子は巨大仏である

島崎和歌子

なんかも笑えました。観察眼がすごいw

 

息抜きにちょうどよい一冊でした^^

Bonnie and Clydeにたどりついた話 -2

前半は↓ 

locayrica.hatenablog.com

 

Bonnie and Clydeーーー

誰?と思ったと同時に「これも聞いたことあるぞ、、、?」 頭の中をたぐっていくと。宇多田ヒカルの「B&C」!!!

何があっても 何があっても
後悔しない take me with you
行けるとこまで 行けるとこまで
ずっとBonnie&Clydeみたいに

曲名からしてボニーとクライドでした。

 

wikiなどの情報から簡単にまとめると、アメリカの世界恐慌時代の犯罪者カップルです。みんなが貧しく鬱屈した世相の中、銀行強盗や殺人、誘拐をばんばんやらかしたこの若い二人は、向こう見ずで今をあつく生きるカップルのアイコンとして定着したのでした。宇多田ヒカルはアメリカ文化にもひたってる人なので、自然に歌詞にも登場させられたんだろうなぁ。

 

よく歌でも言及されるし、また映画化もされているとのことだったので早速観てみました。

 元の題名はBonnie and Clydeです。事実とは異なるところがあるものの、当時のアメリカの雰囲気がめっちゃわかります。世界恐慌で金融機関もばたばた倒産して銀行強盗しようにもお金がストックされてないとか、当時の連邦捜査局(FBI)は州をまたいで操作する権限がなかったのでBonnieたちは強盗のあと州境まで逃げ切るとおっけーとか。盗んだフォード車を乗り回します。

 

www.fbi.gov

FBIのページにも「有名な事件、犯罪」の一つとして彼らの記録が載っています。(大本営発表...!)映画の中では貧民からはお金をとらないなどヒーロー/ヒロイン的要素を見せますが、実際の写真を見てみると目つきがやばい。人相悪い!思いっきり犯罪者!笑

 

末路はやはり悲劇的。Bonnie23歳、Clyde25歳の若さで銃殺されます。それも

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ

と。映画史に残る名高いラストシーンなので、みておくといいと思います。

 

スペイン語勉強してたら、関係ない知識がひとつ増えました。

Bonnie and Clydeにたどりついた話 -1

特に大きな理由もなく、スペイン語ラブな状態が数年続いています。完全に独学やし検定受ける予定もないので、うすっぺら~く知識を吸収中です。

 

スぺ語に触れる方法は、主に以下。

(1)東外大言語モジュール

独学の味方!学校の授業で習うような組み立ての教材がネット上に置かれています。現時点で27の言語学習に対応していて、無料。さすが東京外大かっこいい~ たまに教材内に誤植もあるけど、指摘したら瞬速で訂正してくださいました。

 

(2)スぺ語の曲

Billboardで見かけるアメリカとかのアーティストもけっこうLatino, Latinaは多く、英語だけじゃなくスぺ語の曲を出しています。私がよく聴くのはBecky GFifth HarmonyPrince RoyceShakiraPitbull、Jennifer Lopez、Enrique Iglesiasあたりです。(たぶんスペイン本国でなくメヒコやその他中南米の発音。Spanglish多い。)

 

やはり音楽から入るというのは理にかなっていて、何回も聴いていると耳になじむ単語やフレーズが出てくるんですよね。それがBonnie and Clydeにまで到達します。。

 

(3)You Tube上のチャンネル 


これはメキシコのアナ先生(かわいい)がわかりやすく楽しく教えてくれます。机に向かう気力まではないわ...ってときはベッドでiPhone片手にYouTubeみてる。堕落(笑)

 

(4)NHKのテレビでスペイン語

旅するスペイン語 | NHKゴガク

24回で1シリーズ。たぶん半年は初級者向け、後半の半年は中級者向け。今は旅をしながらフレーズを学ぶスタイルなので、普通に旅番組としても楽しめるハイクオリティーさ!安定のNHK教育系番組。もう6年分くらい録りためてる!

 

こんな感じで現実逃避にも役立ってくれるスペイン語。ちょっと前東京外大のモジュールで勉強中、『desde』という単語が出てきました。どっかで聞いたことある~!と思ってiTunesのプレイリストからたぐっていると、

Pitbull - Superstar (Official Copa America Song) ft. Becky G - YouTube に出てきてました。

サビ部分↓

Because your touch, like poison, is running through my veins
Amor mi, how electric, siempre, siempre, siento
We're like Bonnie and Clyde, we reach for the sky
Desde hoy, forever, yeah, tonight
We will be superstars

 みごとにSpanglishですね!英語とスぺ語まじりまくっている! desdeは「~から≒from」の意味です。hoyは「今日」なので、desde hoyで「今日から」ですね。ちなみにamor miは「my love」、siempreは「いつも」、sientoは「(私は)感じる」です。おそらく。

 

で、歌詞に出てくるBonnie and Clydeに目がいきました。「Bonnie and Clydeのように、、」?誰?何?

 

つづく。

退職してきた

さて、ついに退職しました。理由は「青年海外協力隊に参加するため」です。

 

海外経験のある人の多い職場でしたが、最後にもらった言葉は『ばっくれろ。』海外では日本じゃ考えられんことがあるから、どうにもならなくなったらばっくれろ、とのこと。まだこの重要性がぴんと来ないけど、海外大学、MBA、駐在、バックパッカー経験etcある人たちが力強く同意してた。頭の片隅においておこう~^o^

 

実感はまだ皆無です。書類の手続きをして、お世話になった人に挨拶して、退職金もらって、荷物まとめて。もう月曜日に会社に行く必要もなくて、今後ずーーっと連休が続くみたいな不思議な感覚。(研修はあるけど)

これまでは小、中学生、高校生、大学生、会社員というフレームにきっちりおさまってきたけど、今の立場?属性?分類?はなんなんだろう!「その他」かな?個人事業主でもない、主婦でもない、何者なんやろ!笑

 

辞めてアフリカ行きますと言ったときの人々のアフリカに対する反応は面白いもので、嫌悪感をあらわにする人、感染症との戦いだねぇとアドバイスくれる人、すぐ場所や首都や通貨を調べる人。みんなの中でマラウイの知名度が少しでも上がればそれっていい!

 

あと「やりたいことをやる」っていう面では、「私も実は海外に行きたいと悩んでて、、」「家族にも言えてないけどアフリカの動物保護に興味があって、、」「実は海外行く他社の内定までもらったけどやめた、、」「あなたと同じ時期青年海外協力隊うけたけど落ちた」など暴露話をたっくさん聞けました!みんな表立って言ってないだけで、熱意抱えてて素敵だなと思いました!

 

Not in Education - check 

Not in Employment - check

Not in Training -- hmm, waiting for training

しいて言えば「ニートに片足つっこんでる」私、でした。

Book Review『台湾人と日本精神』

 

新装版 台湾人と日本精神: 日本人よ胸を張りなさい

新装版 台湾人と日本精神: 日本人よ胸を張りなさい

 

 好き度:★★★☆☆

 

アメリカにMBA行ってた人が上司に勧められて、「読んでてよかった~!」となったらしい。海外に出る人必読の書としてプレゼントしてくれた本。感謝!

もらっといて言うのもあれなんですが、自分の考えと違う論調の本なり新聞なり読むんてけっこう堪えますね、、でも知らなかったこと、新鮮な見方、いろいろあったのでプラスマイナスで★3つ><

 

著者は蔡焜燦(さい・こんさん)さんという、台湾で生まれで'日本人'時代も経験した人。

 以下、本文引用して自分の考えを書こう、、、とも思ったけど、部分的に切り取るんてまじで難しい、controversialなテーマと扱うときにはなおさら。※私の理解する限りにおいて、という但し書でも掲げとこう)^o^(

 

たぶん、筆者の言いたいことは「昔の日本精神はまじで最高だった!今はへたれだ。昔の意識高くてかっこいい日本に回帰してくれ!かつ、台湾はややこしくて民度の低い中国との外交においても重要な鍵を握るので、仲良くしてね。」 

 

教育面、インフラ面において

内地の国家予算から膨大な金をつぎ込み、台湾を本国と同等水準に引き上げようとした日本と、植民地から搾取のみ行っていた当時の欧米諸国の違いがよくわかる。(P.59)

 やっぱ教育水準がすべての基礎なんだろうな~

欧米列強の行う植民地政策と日本のそれが全く違ったとして、イギリスに開発学を学びに行くというのは正しいのか?とも思いました。笑

 

「 『高砂族』と日本時代によばれてきた台湾山地人の美質は、黒潮が洗っている鹿児島県薩摩藩)や高知県土佐藩)の明治までの美質に似ているのではないか。この黒潮の気質というべきものは、男は男らしく、戦に臨んでは剽悍で、生死に淡白である、ということである」(『台湾紀行』)(P.116)

これは司馬遼太郎の本の引用部分です。民俗学的に「黒潮気質」というのが存在する説があるらしい。おもしろ。

 

ふん、、ふん、、と読んでいて、どうしても一か所いやいやいやいやってなったのが以下。

引き揚げ者の中には、海南島から日本兵と共に引き揚げてきた二十名ほどの台湾人慰安婦の姿もあった。彼女達は我々と同じキャンプに収容されて台湾への帰国を待っていた。彼女らは口々に、「海南島は儲かるし、それよりも兵隊さんが喜んでくれたんです」と語っていた。そうした生の声には、現代の日本で騒がれるような強制連行の“悲劇”などは存在しなかったことを、私のこの耳がしっかりと聞いている。(P.130)

 

ん、、?これは例えば「戦時中は家族が亡くなって苦しかったしつらかったけど、その中でも小さな喜び、幸せがあった」⇒「戦時中は幸せがあふれていた!戦争は全面的に正しい!」みたいな曲解じゃないのかなーと。

 

昔、仕事がつらかった時期に、「残業多いし、仕事内容も特殊なこと多くて聞ける人がおらんし辛すぎ死にたい[90%]。でも、逆に言えば自分のポジションでしか経験できんことばっかりで、その点は何とかやりがい見いだせなくもないかな...[10%]。」と友人(?)にこぼしました。そしたら後日、「Nちゃんは仕事にめちゃくちゃやりがい感じとって、超楽しいらしい!」という話が出回ってました。え?アスペ?10%部分を100%にひきのばしたのか?ks野郎なの?ちょっと追い詰められていたこともあって、なおさら凹みました。

 

まぁこれはチラ裏なんですが、文脈ってあるじゃないですか。その慰安婦たちがどういう文脈でこのセリフを言ったのか、そこがすべてだと思うんですよね。蔡さんが聞いたセリフが嘘だというんじゃなくて。

 

もしかしたら性産業に携わる人への偏見や無理解が私の中にあるのかもしれない。プライドとか使命感持っててプラスの気持ちが90%な人がいたことも事実なのかも。

 

 

あと、世界史選択だったくせに恥ずかしながら近現代史苦手でよくわかってなかったのが、蒋介石について。

蒋介石はあくまで大陸人という位置づけらしい。1949年に中国本土で毛沢東中華人民共和国が成立して、中華民国政府は台湾に逃れた。それを率いた蒋介石は「反共産党」ではあるものの、やはり大陸人であるので現地の台湾人を弾圧したと。そのまま蒋介石の息子の時代も代り映えしなかったが、アメリカからの民主化の外圧などもあり、1988年、蒋経国の死去とともに、李登輝が台湾人として初のトップに立った、というもの。

 

こんなにご近所の国でも、みんな中国語を話すから中国人、台湾人、香港人とかいっしょくたにしてしまっている面がありました。細かくカテゴライズし始めたらきりがないし、どちらかと言えばより大きくカテゴライズしていこうよ、という意見の持ち主なのですが、それは個々をつぶして無視してもよいということではないので、反省。

 

私は筆者の言う戦後の自虐史観教育をもろに受けており、へたれなんだろうなーと思います。そんな感じのところに、こういうパンチのある本読むというのはすごくおもしろい。

 

「日本人よ胸をはりなさい」 胸をはれるだけ勉強して経験積むようにってことだろうな!精進しまーす!

Book Review『聖の青春』

 

聖の青春 (角川文庫)

聖の青春 (角川文庫)

 

 


好き度: ★★★☆☆

 

『聖の青春』 これほど題名が内容を完全に表す本はめったにないんじゃないか!

 

たっくさん本を読む友達がくれた本。将棋には今まで無縁だったので、戦局の話はほぼわからんかったけど、、、夭折の天才棋士村山聖(さとし)さんの青春をまさに描いてる。

 

せい-しゅん【青春】

①(五行説では春は青にあてる)春。陽春。

②年の若い時代。人生の春にたとえられる時期。 (広辞苑

 

人生の春、ってことは春夏秋冬があってその四分の一くらい?(日本の場合は。他の国、ドイツとかだと春はもっと短そう)

自分の感覚では人生80年のうち、10~30歳あたりを指す。

 

村山聖さんは5歳でネフローゼという病気にかかる。そして29歳で死ぬ。本に描かれているのはその間の彼の人生。主に病気と将棋で構成されている風だった。

で、5~29歳までずっと青春。とぎれることなくずっとアツくて、青春っぽい。「一生青春」というちょっとくさいフレーズも、彼の人生にあてはめてみるとリアルそのもの。

 

広島出身の村山聖さんは、病床で将棋に出会い、最初は広島で無双状態に。でも都会に一歩出ると。

広島では強い強いと誉められたが、結局は井の中の蛙だったんじゃないかと疑心暗鬼になりかけていた。全国には化け物みたいに強い子供がいっぱいいる。(p.65)

 

それからさらに頑張る。

明確な目標があり、そのための努力があった。そんな単純な図式が心地よく、聖の心は充たされていた。今の自分の努力は、自分の夢に直結している。やればやるほど確実に名人に近づいていく、その現実が聖のやる気をますます募らせるのだった。(P.76)

 

村山聖さんの師匠である森信雄さん(愛媛出身)の人生もけっこう描かれる。

もちろん棋士なんだけども、昔は貧乏で大阪に出て将棋とは関係ない仕事でお金をかせいでいたことも。

ゴム工場とか呉服屋のように自分がやるべきことや仕事の意味がわからないというのが、森にとってのいちばんつらいことであった。自分が役に立っているのかどうかさえわからずに、何がしかのお金を受け取ることに激しい抵抗感と屈辱感があった。(P.96)

 

あれ、なんか自分がメモったところ、仕事論部分しかないやん。笑

 

とにかく村山聖さんは死というタイムリミットを常に意識して、時間の無駄を極度に嫌い、超あつい人生歩んだんだな~というのを知った。

反面、というか、であるがゆえに、めちゃくちゃ頑固で譲らない。自分のしたいことだけをする。(この人の場合は、自由放埓というんじゃなくて、目標のために必要なショートカットだけを歩む感じ)で、周りはそれを受け入れる。

 

この構図は最近見た 『3 idiots(邦題:きっと、うまくいく)』というインド映画の登場人物たちとかぶるので、ぜひこちらも。 

 

gdgdすごしてる暇ないな~!